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2008年12月13日(土) 22時18分

<自殺志願>東尋坊で11月に急増 「派遣切り」4人保護毎日新聞

 福井県坂井市の景勝地「東尋坊(とうじんぼう)」で11月、自殺防止パトロールに取り組むNPO「心に響く文集・編集局」(茂(しげ)幸雄理事長)が、人生に行き詰まり、自殺をしようとした若者ら6人を保護した。世相を反映しているのか、うち4人は派遣社員だったという。茂さんは「10月は派遣社員を名乗る自殺志願者はゼロだったのに。彼らが安心して働ける社会が一日も早く訪れてほしい」と話す。

 石川県境の海岸沿いに断がいが続く東尋坊は、毎年25人ほどの自殺者が出る。いつも通り夕方のパトロールをしていた茂さんは11月5日午後4時ごろ、断がいに1人の男性(22)がたたずんでいたのを確認した。そっと後ろから肩を抱きかかえ「帰ろう」と話し掛けた。近くにある事務所に連れて帰ると、男性はようやく落ち着いたのか、身の上を話し始めたという。

 男性は岩手県出身で、首都圏で携帯電話販売の派遣社員だった。10月に会社から「もうおまえはいらない」と告げられ、住んでいた寮を追い出された。頼る身内もなく、各地を転々としてこの地へたどり着いた。茂さんは「きょうまで苦しかったんでしょ」「でも、解決できない苦しみなんてないよ」と、そっと言葉をかけ、大阪市北区の民間の保護施設を紹介。男性を高速バスに乗せたという。

 また11月27日午後5時ごろには、宮城県出身の男性(27)が「話を聞いてほしい」と泣きながら、NPOの事務所に入ってきた。地方公務員を目指して勉強をしながら、派遣社員として三重県内の建設会社に勤務していたが、業績悪化で11月に入り契約を切られた。自転車で各地を転々と放浪し、東尋坊に来た時の所持金は50円だった。茂さんが差し出した餅をうれしそうに食べ、茂さんは、埼玉県内にあるボランティア施設を紹介した。

 茂さんは「4人はいずれも20〜40代の働き盛りだった。行き場を失った人を再チャレンジさせるため、行政は一時的に収容する施設を早急に造るべきだ」と訴えた。【大久保陽一】

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