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2008年12月13日(土) 21時37分

<日中韓首脳会議>警戒感互いに封印 経済危機で連携促進毎日新聞

 日中韓3カ国首脳会議が初めて単独で開催される機運を生んだのは「100年に1度」とされる米国発の経済危機だ。歴史問題や領土問題を抱え、互いに警戒感がぬぐえぬ3カ国だが、経済のダメージへの危機感は強く、協同して対処する重要性の認識で一致した。会議を「歴史的だ」と口をそろえた3首脳だが、足並みが完全にそろった訳ではなく、今後の成果は未知数。「未来志向」「戦略的互恵」などのスローガンだけに終わらせない努力が求められる。

 「3カ国は隣同士の国。(単独の首脳会議が)今までなかったのが不思議だが、今回の金融危機が促進させた面がある」。麻生太郎首相は13日の共同記者会見で率直に認めた。

 3カ国首脳会議は99年、マニラでのASEAN(東南アジア諸国連合)会議での朝食会が始まりで歴史は浅い。過去8回はASEAN会議出席の「ついで」(外務省幹部)に開かれ、05年は小泉純一郎首相の靖国神社参拝で流れた。

 今回合意された定例会議化は、関係の「もろさを補強する装置」(日本政府関係者)を期待したものだ。だが、そう容易ではないことはこの日の協議からも伺えた。

 日中首脳会談で麻生首相は、今月8日に中国の海洋調査船が尖閣諸島・釣魚島付近に侵入した問題に触れ「わが国領海での行動は遺憾」と述べた。温家宝首相は「古来より中国の領土」と反論し、協議は平行線に終始した。

 世界経済危機で株価と通貨ウォンの急落に見舞われた韓国にとり、日中両国とのスワップ協定締結は、日中から「資金面で保証された」意味がある。だが頼みの綱の輸出は、米国やEUなど相手先の景気悪化で、ウォン安メリットを生かせていない。

 「東アジア地域で重要な影響を持つ3カ国」(温首相)の定期会合を、中国も重視することに疑いはない。ただ温首相は、3カ国あるいは日中、中韓首脳会議で懸案事項へほとんど踏み込まなかった。「今は米国とどう向き合い、危機を乗り越えるかが喫緊の課題。日韓との協力も大事だが、今年は既に首脳会議を行っている」と中国筋は指摘する。

 今月に予定されていた経済閣僚による日中ハイレベル経済対話は中国側の意向で延期されたが、米中戦略経済対話は予定通り開催されたことにも、中国側のスタンスが垣間見える。【成沢健一、西脇真一、川上克己】

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