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2008年12月13日(土) 21時31分

<日中韓首脳会議>金融危機に協力強化「アジア繁栄に責任」毎日新聞

 麻生太郎首相は13日、福岡県大宰府市の九州国立博物館で中国の温家宝首相、韓国の李明博(イミョンバク)大統領と3カ国首脳会議を開いた。3首脳は「アジアの平和と繁栄に責任を負う」ことを確認し、相互信頼の原則に基づいて関係強化を図ることで一致した。会議の成果として、3首脳は共同声明に署名。麻生首相は共同記者会見で「金融市場の安定化のため地域協力を強化することで一致した」と強調した。

 会議の冒頭、麻生首相は「今の国際金融危機や北朝鮮の問題など共に取り組んでいかなければならない問題が少なくない。首脳会議を契機に協力関係がさらに進むことを期待する」と強調した。

 会議では、アジア域内で緊急の金融危機が起きた場合、2国間で通貨を融通し合う協定「チェンマイ・イニシアチブ」(05年に合意)に基づき、日韓、中韓の間で融通限度額を引き上げることを確認した。北朝鮮の核問題に関して3カ国の協力が必要との認識で一致した。

 3首脳は、世界的な金融危機への共同対処を盛り込んだ国際金融と経済に関する共同声明のほか、防災担当相の定期会合の開催を柱とする防災協力の推進に関する共同発表をそれぞれまとめた。また、人的交流や貿易、環境など幅広い分野での協力の強化を目指す行動計画も発表した。

 3カ国首脳会議に先立って、日中首脳会談も開かれ、麻生首相は席上、北朝鮮の核問題を巡る先の6カ国協議が成果なく終わったことを踏まえ「日本として拉致問題、核問題ともに重要だ。議長国である中国の役割を期待する」と述べた。また、麻生首相は8日の中国海洋調査船の尖閣諸島(中国名・釣魚島)への侵入問題を指摘したが、尖閣諸島の領有権を巡って日中互いに譲らず、平行線をたどった。歴史問題には互いに触れなかった。

 今回の日中韓首脳会議は初めて国際会議と切り離して開催され、次回は中国で開くことで合意した。温首相と李大統領は同日夜、麻生首相主催の晩さん会に出席後、それぞれ福岡空港から空路で帰国する。【川上克己】

◆日中韓3カ国首脳会議のポイント

一、3首脳は首脳会議を持ち回りで年1回開催することで合意。次回開催国は中国

一、3首脳は金融市場安定に向け、日中韓の間で通貨を融通し合うスワップの増額を歓迎

一、北朝鮮の非核化に向け、3カ国がまとまって北朝鮮と対話することが重要との認識で一致

一、麻生太郎首相は拉致問題に言及し、中韓首脳に日朝関係前進への協力を要請。中韓首脳は日本の努力を支持

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081213-00000073-mai-pol