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2008年12月13日(土) 16時59分

“他人事”と笑っていられない爆笑問題・太田の脱腸夕刊フジ

 お笑いコンビ、爆笑問題の太田光(43)が、脱腸(ソケイヘルニア)の手術で入院した。ソケイヘルニアは、太ももの付け根にある筋膜から、腸管などが腹膜と一緒に皮膚の方へ飛び出す病気だ。厚労省の調査によれば、年々患者数は増加。しかも、40代以上の男性に多く他人事ではない。

 「成人の場合、加齢現象に伴い、太ももの付け根のソケイ部の筋肉が弱くなります。そのため、ソケイヘルニアになりやすいのです」と、東海大学医学部付属東京病院消化器外科の武智晶彦助教は説明する。

 成人のソケイヘルニアの8〜9割は男性。なりやすいのは、(1)太っている人(2)職業的に重いものを持ち上げる、あるいは立ち仕事が多い(3)スポーツ選手(3)吹奏楽器の演奏者など“腹圧”がかかりやすい人(4)トイレで力むクセのある人。女性では妊娠中の人も、腹圧が高まるためになりやすい。

 「予防法はありません。ソケイ部が腫れるのは、ソケイヘルニアだけでなく別の病気の可能性もあります。早めに診断を受けることが大切」と武智助教。

 治療法は大きく分けて3つ。

 【従来法(縫合法)】組織と組織をつなぎ合わせて、ヘルニア門(ヘルニアもん/飛び出している部分)を縫合閉鎖する古典的な手術。

 【人工物を用いた手術】メッシュでヘルニア門を修復する手術。一般的に「日帰り手術」といわれているのはこの方法。早期の社会復帰が可能だが、日帰りのため創部(キズ口)の観察が不十分になるなど、術後管理の問題がある。

 【腹腔鏡手術】腹腔鏡を用い、お腹の内側からメッシュでヘルニア門を修復する。腹部の状態を内側から把握できるため、患部とは反対側のヘルニアになりやすい場所も確認でき、同時に治療を行うことが可能。最も有効な治療とされるが、全身麻酔下の手術となり高い技術レベルが要求される。

 「ソケイヘルニアは、痛みなどの症状が伴わないのが一般的です。しかし、急に痛みが生じたときには注意が必要です。出てしまった腸が戻らなくなる『嵌頓(かんとん)』の恐れがあるからです」(武智助教)

 嵌頓は、血流障害により飛び出た腸管が壊死してしまう。緊急手術が必要なほど重篤な状態だ。いずれにしても、早期に診断と治療を受けることがなにより。ソケイ部の異変を見逃さないように。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081213-00000010-ykf-ent