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2008年12月13日(土) 15時05分

米政府、金融対策資金活用も ビッグ3救済法廃案で中国新聞

 【ワシントン12日共同】経営危機に陥っている米ビッグスリー(自動車大手三社)救済法案について、米上院の民主、共和両党は十一日、法案に強く反対する共和党側が出した修正案を基に協議したが、三社の労働者の賃金引き下げをめぐり決裂した。上院は同日夜、法案の採決に移るための動議を否決、事実上の廃案となった。

 ペリーノ米大統領報道官は十二日、ゼネラル・モーターズ(GM)などの経営破たんを回避するため、政府が金融危機対策のための最大七千億ドル(約六十三兆円)の公的資金枠の活用を検討する意向を表明した。

 GMとクライスラーは、公的支援がなければ年内に資金繰りが行き詰まり、破たんする恐れがある。米連邦破産法一一条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請する検討もしており、両社救済の動きは最終局面に入り、ブッシュ大統領の決断に委ねられることになった。

 十月に枠組みができた金融機関支援のための七千億ドルの公的資金は、ポールソン財務長官の判断で幅広い投資が可能で、ビッグスリーへの金融支援にも活用できるとされるが、大統領や財務長官は、これまで慎重姿勢を示していた。

 しかし報道官は声明で「金融危機対策の公的資金を含めて、ほかの選択肢を検討する」とした上で、「(破たんにより)米国経済をさらに弱め不安定にさせるのは無責任だ」と強調した。

 ビッグスリー救済法の修正案は、下院で十日可決された法案に反対する共和党議員が提案。労働者の賃金をトヨタ自動車など外国企業並みの水準に直ちに引き下げることや、期限内に再建目標を達成できなかった場合は破たん申請適用を求めるなど、三社により厳しい要求を突きつけた。

 両党指導部は修正案を軸に、労働組合代表も交えてぎりぎりの協議を続けたが、賃金削減の時期などをめぐり合意できなかった。

 AP通信は一時、両党が暫定合意に達したと伝えていた。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200812130106.html