記事登録
2008年12月13日(土) 13時13分

<浜岡原発>廃炉方針 東海地震・震源域の苦肉の策毎日新聞

 中部電力浜岡原発1、2号機の廃炉方針は、原発依存度(発電量に占める原発の割合)の低い中部電力が、地球温暖化対策で注目が高まっている原子力発電への依存度を上げるための苦肉の策と考えられる。中電は、東海地震の震源域の真上に位置する老朽化した原発の再開にこだわらず、新たな原発建設に乗り出すことを選択肢としたといえる。

 浜岡1、2号機は国が78年に原発の旧耐震指針を策定する以前に設計された古いタイプだ。中電は、周辺住民が運転差し止めを求めて起こした裁判などで「旧指針に沿って耐震性を確認している」と主張し、耐震補強工事を今年度中に始めるとしてきた。

 だが、07年の新潟県中越沖地震は東海地震よりも一回り小さい規模にもかかわらず、柏崎刈羽原発が浜岡原発での想定と同等かそれ以上の揺れに襲われ、被害が出た。浜岡1、2号機は運転開始から約30年が経過しており、改修には炉心部を総取り換えするなど莫大(ばくだい)な経費がかかるとみられている。

 全国には、浜岡1、2号機と同様に旧耐震指針策定以前に設計された原発が、東京電力福島第1原発など20基以上稼働している。今回の廃炉方針は、これらの原発の運転継続にも影響を与えそうだ。

 一方、国は原子力政策大綱で、2030年以降も総発電電力量の3〜4割程度を原子力発電で維持すると位置づけている。中電は国の大綱に沿い、廃炉の代わりに6号機の新設を検討している。

 しかし、浜岡原発の敷地は、東海地震の想定震源域の真ん中に位置し、活断層の存在も指摘されている。同じ敷地内に新原発を建設する方針は、新たな批判を呼びそうだ。【山田大輔、永山悦子】

【関連ニュース】
福島第1原発:1号機で駆動装置の弁水漏れ 放射能未検出
浜岡原発:原告団「中電、世論に負けた」 廃炉検討
浜岡原発:1、2号機廃炉へ 6号機を新設 中部電力検討
浜岡原発:プルサーマル計画 安全対策協の要請に回答−−中部電力 /静岡
浜岡原発運転差し止め訴訟:「厳しい地震想定必要」と原告側が主張−−控訴審 /静岡

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081213-00000035-mai-soci