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2008年12月13日(土) 11時42分

えーっ!! 「福袋」にマンション?産経新聞

 来年の初売りを前に、百貨店各社がユニークな「福袋」を準備している。景気低迷による消費の冷え込みを反映してか、実用品を詰め込んだ割安感のある福袋が目立つ。一方で、流行語大賞にもなった40歳前後の女性を指す“アラフォー”世代をターゲットにした商品や、モノではなく体験型の企画が多いのも今シーズンの特徴。正月の縁起物として始まった福袋だが、時代を経て、お買い得な“セット販売”としての色合いが強まっている。

 ▽生活防衛セール

 高島屋では、コートやジャケット、セーターなどがセットになった中身の見える福袋(1万〜3万円)の事前予約を行っている。男女用とサイズが別れており、各店の特設カウンターでは試着も可能。同店では「消費者の生活防衛の意識に応えられる商品」とみており、3500セットをそろえた。16日までの事前予約は好調で、前年比で約1・5倍の売り上げを期待しているという。

 阪急百貨店でも同じく、中身の見える衣料品の詰め合わせ福袋(5000〜5万円)を約1万個用意。大丸梅田店では初売りに合わせて、すしやギョーザなどを2〜5割引で買える回数券を入れた「食品回数券福袋」(2000〜5000円)を販売する。

 ▽アラフォー狙い

 経済的に余裕があるとされるアラフォー世代の女性をターゲットにした商品も多い。

 高島屋大阪店は、2年後に完成する難波の高層マンションの一部屋(1LDK)とフェイシャルエステなどをセットにした「NAMBA夢袋」(価格未定)を新春に売り出す予定。松屋銀座店では、男性社員が選んだ女性向けの衣料品などをパックにした「婚活支援福袋」(1万4000円)を作った。

 一方、ユニークな体験型の企画も目を引く。そごうと西武の両百貨店は、男性向けにシドニー五輪銅メダリストの田中雅美さんらによる水泳レッスンを、女性向けには同五輪金メダリストの高橋尚子さんを育てた小出義雄氏の指導を受けられるセット(各20万円)を用意。

 高島屋大阪店は農業体験ができる福袋(3万円)、東武百貨店は沖縄のマングローブの植樹体験ツアー(45万円)をそれぞれ準備している。

 ▽変わる福袋

 こうした状況について、福袋に詳しいフリーライターの恩田ひさとしさんは「福袋が初売りの“キラーコンテンツ”になったため、話題性を重視したものや、商品の抱き合わせ販売になってしまうケースが増えている」と指摘する。

 恩田さんによると、江戸時代に大丸が「当たり」を混ぜた着物の端切れなどを袋に詰めて初売りのときに販売したのが、福袋の起源とされる。明治44年にいとう呉服店(現松坂屋)が「多可良函(たからばこ)」の名称で福袋を販売するなど、その後は正月の縁起物として広まった。

 昭和60年代になると、インパクトのある高額商品を入れた福袋が次々と登場。百貨店の初売りが1月2日に早まった平成15年ごろから、集客のための“キラーコンテンツ”としての意味合いが強まったという。

 賢い福袋の買い方として、恩田さんは「好みの分野をあえて外す」ことを挙げる。「誰かにプレゼントを渡す場合と同じように、洋服とかインテリアとかその人がこだわりを持つ分野は外して買うべきだ。そうすれば何が入っていても不満に思わない。あと、福袋は縁起物ということを思いだしてほしい。縁起物に損得感情を持ち込むのは不謹慎ですから」

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