記事登録
2008年12月13日(土) 11時18分

福岡で日韓首脳会談 金融危機での協調確認産経新聞

 麻生太郎首相は13日朝、政府専用機で地元・福岡入りし、来日した韓国の李明博大統領と福岡市内のホテルで会談した。世界的な金融危機に対応するため、両国が緊密に連携していくことで一致。北朝鮮の核問題についても引き続き、日韓が連携し、厳正な核計画申告の検証枠組みの構築を目指すことを確認した。

 中国の温家宝首相も同日昼前、福岡入り。首相は午後、福岡県太宰府市の九州国立博物館で麻生首相と日中首脳会談を行う。続いて、麻生、温両首相と李大統領との日中韓3カ国首脳会議が同じ場所で開かれ、世界的な経済危機に向け、3カ国協調をうたう共同声明を発表する見通し。

 日韓首脳会談では、首脳同士の「シャトル外交」の継続など「未来志向の日韓関係の構築」を重ねて確認。ウォン安対策としてウォンと引き換えに円やドルを韓国に融通ずる通貨交換(スワップ)協定の資金枠をいまの130億ドルから300億ドルに拡大することで合意した。

 また、先に開かれた北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議首席代表者会合は不調に終わったが、完全なる核放棄に向け、核施設からのサンプル(試料)採取の検証手続きを文書化させるなど今後も日韓が足並みをそろえて対応していく方針を確認した。

 麻生首相と李大統領は10月に北京で開かれたアジア欧州会議(ASEM)の際に初会談を行い、11月下旬のペルーのアジア太平洋経済協力会議(APEC)ではブッシュ米大統領も交え3カ国首脳会談を行った。

 午後に開かれる日中韓3カ国首脳会議では、麻生首相は議長国として東アジアの経済危機国際金融危機への具体策をまとめ、3カ国の経済・金融・貿易など各分野で緊密化を図る考えだ。北朝鮮の核問題や拉致問題でも日本の立場を説明した上で、3カ国の連携の重要性を確認する。

 一方、日中首脳会談では、首相はわが国の領土である尖閣諸島周辺での中国調査船の領海侵犯事件について抗議する方針。東シナ海の石油・ガス田開発や「食の安全」の問題も議題となる方向だ。

 3カ国首脳会議は、平成11年に東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議に故小渕恵三首相(当時)ら日中韓首脳が招かれたのをきっかけに始まった。国際会議と切り離して単独開催するのは今回が初めて。東アジア(EAS参加国)の国内総生産(GDP)総計の74%を占める3カ国の連携強化により、東アジアの平和と繁栄を図ることが目的で、今回の会議から定例化する方向となっている。

【関連記事】
【今、何が問題なのか】「ASEAN流」は店じまい
日本などアジア圏9カ国・地域 貿易「再保険」ネット構築
欧米疲弊…アジア市場逃すな 三井住友銀、第一生命など攻勢
ドル基軸体制維持へ努力 「食の安全」徹底を確認ー日中首脳
麻生首相の外交日程めじろ押し

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081213-00000519-san-pol