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2008年12月13日(土) 00時22分

EU首脳会議、温暖化防止包括案で合意、財政出動も承認産経新聞

 【パリ=山口昌子】欧州連合(EU)首脳会議は最終日の12日、ブリュッセルで協議し、地球温暖化防止に向けて具体策を盛り込んだ包括法制案で合意した。EUはこれにより、拘束力を持つ規制を施行することで、2020年までに温室効果ガスを1990年比で20%以上削減するなどと定めた目標の達成を目指す。各国はさらに、景気後退への対策でも、欧州委員会が先に発表した総額2000億ユーロ(約24兆円)の財政出動を含む経済再生計画案を承認した。

 EU議長国フランスのサルコジ大統領は「世界的な経済危機に直面し、EUは結束を示した」と述べ、会議の成果を強調した。

 また、EU首脳会議は、アイルランドが6月に国民投票で批准を否決したEUの新基本条約「リスボン条約」についても、アイルランドが再び国民投票を実施したうえで、2009年末までの発効を目指すことを確認した。

 包括法制案は(1)風力、太陽光など再生可能エネルギーの比率を20%に拡大(2)自動車の二酸化炭素(CO 2)排出量を20−40%削減(3)企業間の排出量取引で排出枠の割り当てを有償化−などが柱。

 ただ、金融危機を背景に、CO2を大量に排出する企業への“罰金”を科す計画には、自動車産業が基幹のドイツや石炭を主要エネルギー源とするハンガリーなど東欧諸国が強く反対していた。

 EU筋によると、ハンガリーは“罰金”の20%をEUが負担するよう要請したが、12%で妥協するなど微調整が行われた。

 一方、2000億ユーロの経済対策は、EU全体の域内総生産の約1・5%に相当する規模となる。英仏が積極的に支持していたのに対し、その資金の捻出(ねんしゅつ)方法などをめぐり反対姿勢のドイツが消極的で対立していた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081213-00000503-san-int