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2008年12月13日(土) 13時49分

石西厚生連が経営悪化で破産中国新聞

 島根県津和野町の津和野共存病院や日原診療所など4医療・福祉施設を指定管理者として運営しているJA石西厚生連(津和野町)が12日、松江地裁に自己破産を申請し、破産手続き開始決定を受けた。代理人の弁護士によると、臨床研修制度導入による医師不足や国の医療費抑制政策などで経営状況が悪化した。全国厚生連によると厚生連の自己破産は初めて。

 病院などの運営は一定期間、破産管財人が継続した後、設立準備を進めている別の医療法人が引き継ぐため、計164人いる入院患者・入所者などに影響はないとしている。

 代理人によると、負債総額は約8億600万円。2008年3月期決算で約2億1000万円の債務超過になり、08年度から施設を津和野町が買収して公設民営方式で出直しを図っていたが8月以降、看護師が相次いで退職。看護師の新規採用は困難で、将来の病棟閉鎖やさらなる減収が見込まれることから事業継続を断念したという。

 石西厚生連によると常勤医は2004年度の14人から本年度は8人に減っていた。青木和憲会長は同日、町内で記者会見し「このような事態に至ったことは誠に申し訳ない」と陳謝した。その上で「国の臨床研修制度の導入で医師が激減した上、看護師の退職も相次いだ。私たちの努力を超えた面もある」と述べた。

 会見に同席した中島巌町長は「11日に話を聞いたが、やむを得ないと理解する。職員を新法人へできるだけ引き継いでもらうようお願いし、支援策も考えたい」と話した。

 4施設の運営は町が中心となって設立準備中の医療法人橘井堂が受け継ぐ。日原診療所については来年1月から指定管理者になることが決まっており、残る3施設も4月から指定管理者となる見通し。

【写真説明】JA石西厚生連が指定管理者として運営する施設の一つ、日原診療所

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200812130075.html