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2008年12月12日(金) 01時00分

輸入事業者に届け出義務付けも/県の食の安全・安心推進条例骨子案カナロコ

 食品の安全性に対する信頼が社会的な問題となっていることを受け、県は十一日までに「食の安全・安心推進条例(仮称)」の骨子案をまとめた。全国で初めて輸入食品の事業所の届け出を義務化するほか、自主回収の報告制度を独自に盛り込み、食品の安全性確保を図る。県は二〇〇九年度中の条例成立を目指し検討を進める。

 骨子案では、食品関連事業者は自ら取り扱う食品や生活資材などの情報提供を正確、適切に行うことを責務とした。県は条例に定める施策を具体的な事業として推進するための指針を今後策定する。

 輸入食品事業所の届け出制度は、県内で食品などの輸入事業を行う事業者を対象に県内事業所の届け出を義務付けるもの。

 中国産の冷凍ギョーザを原因とする薬物中毒事件などの輸入食品による健康被害事例を受け、輸入事業者に対する安全性確保の指導が必要になっている。しかし、現状では県が輸入事業者を把握する法制度はない。届け出を義務化することで、輸入事業者へのきめ細かな指導や周知を目指す。

 届け出の実効性を担保するため、条例に違反した事業者には罰則を科す方向で検討を進める。ただし、県内に事業所がない事業者には条例が適用されない。

 自主回収制度は、県内に事業所などを置く食品関連事業者が食品衛生法に違反または違反の疑いのある食品を自主的に回収した場合、県に報告するという内容。県は速やかに報告内容を公表する。

 現状では異物混入による食品の自主回収をしても報告義務はなく、すべてが公表されるとはかぎらない。消費者が気付かずに飲食する恐れもあるため、県が回収情報を収集して消費者に情報提供し、被害拡大の防止を図るのが狙いだ。

 県生活衛生課によると、全国では東京、大阪など八都府県が条例で自主回収の報告制度を設け、成果を挙げているという。報告を怠った事業者に罰則を科すと自主回収自体が行われなくなる恐れがあるため、罰則は科さず指導、監督にとどめる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081212-00000000-kana-l14