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2008年12月12日(金) 14時25分

インサイトのコンセプトモデル、日産の電気自動車——最新エコカーを見てきましたBusiness Media 誠

 自動車メーカーのブースでは、燃料電池車や電気自動車、ハイブリッドカーなど、各社の最新エコカーが展示されている。洞爺湖サミットで使われたものあり、コンセプトモデルあり。ここではエコプロダクツ2008で見学できるエコカーを紹介しよう。

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●ハイブリッド車「インサイト コンセプト」——ホンダ

 本田技研工業のブースで展示されているのは2009年春に発売予定のハイブリッドカー「インサイト」のコンセプトモデルだ。10月にパリで開かれた「パリ国際モーターショー」で初登場したモデルで、日本での公開はこれが初となる。

 F1撤退でも話題となったホンダの、環境戦略の主軸となるのがこの新型インサイトだ。5人乗りの5ドアハッチバックで、200万円前後という“手が届く”価格に設定される見込み。販売目標は1年で20万台、これは現在の同社のHV年間販売台数の4倍近い、意欲的な数字だ。

 今回展示されているコンセプトモデルは「ドアミラーやタイヤホイールまわりなどデザインは違うが、そのほかは(2009年に市販される新型インサイトと)ほぼ同じと思っていただいて構わない」(広報)。

●燃料自動車「トヨタFCHV-adv」——トヨタ自動車

 「プリウス」の成功で、ハイブリッドカーに積極的というイメージを持たれているトヨタ。エコプロダクツ2008のトヨタブースでは、燃料電池ハイブリッド車「トヨタFCHV-adv」が展示されている。ガソリンではなく水素で走る、燃料電池とバッテリーのハイブリッドカーだ。

 1回の水素充てんでの航続距離は約830キロメートル。マイナス30度の環境での走行テストもクリアしている。

 ボンネットを開けると中央にあるのはパワーコントロールユニット。自社開発の燃料電池「トヨタFCスタック」は、その下に収められている。座席下には70MPa(メガパスカル)と高圧の水素タンクが入っており、助手席側後方に水素充てん口が設けられている。

 トヨタFCHV-advは9月より限定でリース販売されており、現在10台程度が企業・自治体などで使われているという。

●電気自動車「EV-01」——日産自動車

 日産自動車のブースでは、電気自動車(EV)が参考出品されている。モデル名は「EV-01」、8月に公開した実験車両だ。

 同社では電気自動車を2010年から日米市場に投入する予定。EV-01は「CUBE(キューブ)」をベースにしているが、2010年に販売するEVはキューブがベースではなく、新設計の車両になる見込みだという。

 EV-01は、200ボルトの電源で1晩かけて充電する。現在の航続距離は明らかにしていないが、「開発目標は120キロメートル。市販時にはこの目標に近いところで出したい」(広報)と話している。

●電気自動車「プラグイン ステラ コンセプト」——スバル

 富士重工業のブースでは、「プラグイン ステラ コンセプト」の車両が展示されている。軽自動車「ステラ」をベースに作られたEVで、100ボルトの家庭用電源で8時間かけて充電するほか、給油口からの急速充電も行える(10〜15分で80%の充電が可能)。充電1回あたりの航続距離は約80キロメートルとなっている。

 プラグイン ステラ コンセプトは7月に開かれた北海道洞爺湖サミットに5台提供されたほか、現在は郵便事業が三菱自動車の「iMiEV」(アイミーブ)とともに営業業務用車両・集配業務用車両として利用する実証実験を行っている最中だ。

 市販化も見据えており、販売目標は2009年に100台。400万円と高価なこともあり、自治体・企業などに限定して販売する方針だ※。

※ベース車の「ステラ」の市販価格は100万円台。

●コマツユーティリティー「ARION HYBRID」

 最後にちょっと変わった“ハイブリッドカー”を紹介しよう。コマツユーティリティーのフォークリフト「ARION HYBRID(アリオンハイブリッド)」だ。

 一般車で「ハイブリッド」といえば「ガソリンエンジン+バッテリー」のハイブリッドが多いが、アリオンハイブリッドは「バッテリー+キャパシタ」のハイブリッドだ。

 実はフォークリフトの世界ではすでに電気を動力源とするバッテリー車が普及しているのだそうだ。ディーゼルエンジン車よりランニングコストに優れる上、排ガスを出さないバッテリー車は室内での荷役作業にも都合が良い。

 しかしバッテリーを搭載するフォークリフトには課題があった。充電時間の長さ(10〜13時間)の割に稼働時間が短い(1.5トン車で約6時間)こと、またバッテリーの消耗とともに電力が低下し、作業スピードも落ちることがそれだ。

 アリオンハイブリッドでは、大型のキャパシタ(充電装置)を搭載し、バッテリーと2系統の電源を持つことでこの課題をクリアしている。発進・荷上げなど大きな電力が必要な場合にはキャパシタの電力を、走行中はバッテリの電力を使い、減速時や前後進を切り替えるときに発生する回生エネルギーをキャパシタに回収するのだ。

 ハイブリッドカーといえば「ガソリン+バッテリー」「燃料電池+バッテリー」と思いこんでいたので、バッテリーハイブリッドという考え方はとても面白かった。ちなみにアリオンハイブリッドの販売価格は約400万円(一般のバッテリーフォークリフトは300万円程度)。2007年4月に発売され、現在約500台が稼働中だという。

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Business Media 誠:エコプロダクツ2008特集ページ

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