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2008年12月12日(金) 21時11分

23兆円規模の緊急対策実施…首相、会見で表明スポーツ報知

 麻生太郎首相は12日夜、官邸で記者会見し「米国発の金融危機が尋常ならざる速さで実体経済に影響し始めている」と指摘、雇用対策や企業の資金繰り対策を中心とした総額23兆円の「生活防衛のための緊急対策」を実施すると発表した。雇用創出のための地方交付税の1兆円積み増しなどが柱。

 また景気回復を条件に消費税率を3年後に引き上げる方針は「全く変わっていない」と明言し、2011年度の税制抜本改革を目指し作業を進めるよう与謝野馨経済財政担当相らに指示したことを明らかにした。

 2008年度第二次補正予算案の今国会提出を見送ったことへの批判が広がる中、思い切った対策を打ち出すことで信頼回復を図るとともに、今後の政権運営にも強い意欲を示した形だ。

 財政措置は10月末に発表した生活対策のための6兆円を含む10兆円で、2008年度第二次補正予算案と09年度当初予算案に計上。09年度予算では、さらなる情勢悪化に備え1兆円の「経済緊急対応予備費」を新設する。

 首相は切れ目ない予算執行の必要性を強調し、民主党の小沢一郎代表に両予算案と関連法案の早期成立に向け協力を呼び掛けた。

 財源に関しては「生活対策で赤字国債は発行しない」として、霞が関の埋蔵金とされる特別会計の準備金などを充てる考えを示した。

 雇用対策では、地方交付税を増額するほか、失業した派遣・契約社員らの〈1〉住宅確保や生活支援〈2〉再就職支援〈3〉雇用保険料の引き下げや失業給付の見直し—などに計1兆円を計上。内定取り消しの企業については「企業名の公表を含め指導を徹底したい」と強調した。

 生活対策に盛り込んだ住宅ローン減税や設備投資減税に1兆円を充てる方針も打ち出した。

 残る13兆円は資金繰り対策など金融支援のための枠組みで、改正金融機能強化法成立を受け、公的資金で資本注入できる枠を2兆円から12兆円へ拡大。中堅、大手企業が発行する社債の一種のコマーシャルペーパー(CP)を政府系金融機関が買い取り、資金繰りを支援する枠組みにも3兆円を用意する。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081212-OHT1T00285.htm