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2008年12月12日(金) 23時13分

EU首脳会議、温暖化防止包括案で合意 財政出動も承認産経新聞

 【パリ=山口昌子】欧州連合(EU)首脳会議は最終日の12日、ブリュッセルで包括的な気候変動対策について詰めの協議を行い、難航していた地球温暖化防止に向けた包括法制案で合意した。温室効果ガスの排出量取引制度などの各論をめぐり一部加盟国が受け入れに難色を示していた。さらに、各国は景気後退への対策でも、欧州委員会が先に発表した総額2000億ユーロ(約24兆円)の財政出動を含む「経済再生計画案」を承認した。

 サルコジ大統領は会議前、特に難航が予測された温暖化対策に関し、「EUとして一致すべきだ」と述べ、温暖化対策に消極的な米国などに対し、欧州として強いメッセージを送るべきだと強調していた。

 EUは1997年、2020年に向けて1990年比で(1)温室効果ガスの20%削減(2)再生可能エネルギー利用率20%の達成(3)エネルギー効率の20%向上−の3目標で合意。この基本路線は厳守で一致していた。

 しかし、金融危機を背景に、温暖化の元凶である二酸化炭素(CO2)を大量に排出する企業に対する一種の“罰金”を科す計画には、自動車産業が基幹のドイツや石炭を主要エネルギー源としているハンガリーなど東欧諸国が強く反対し交渉が難航していた。

 EU筋によると、ハンガリーは“罰金”の20%をEUが負担するよう要請したが、12%で妥協するなど微調整が行われた。

 景気後退への対策では、先に欧州委員会が発表した2000億ユーロの経済対策の実行で基本合意した。これは、EU全体の域内総生産の約1・5%に相当する規模となる。英仏が積極的に支持していたのに対し、付加価値税(VAT)の引き下げによる捻出(ねんしゅつ)方法などに反対するドイツが消極的で対立していた。

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