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2008年12月12日(金) 23時13分

歳末商戦に追い風? 止まらぬ円高産経新聞

 12日、13年ぶりの円高水準となる1ドル=88円台となった為替相場。輸出企業への影響が心配されるが、一方で歳末商戦が本格化する百貨店やスーパーなどは、輸入品の値下げをアピール。不況の深刻化で堅くなった消費者の財布のひもを弛めようと必死だ。

◆値下げで売り上げ倍増も

 イオン(千葉市)は、本州と四国の「ジャスコ」で、円高を受けて安売りセールの対象を約400品目追加して、約2000品目まで拡大。食品や衣料品、布団などを10〜30%値下げした。対象商品の売り上げは約2倍の伸びを見せており、「景気の先行きが不安な状況で、お客さまは価格に対して敏感になっている。それだけに、今回の値下げは好評」(イオン広報)という。

 「歳末商戦に向け、円高還元の効果が出れば」と期待をふくらませるのは大塚家具(東京都江東区)。11月に輸入品約9500品目を5〜20%値下げ。円高によるコスト減を見込み、価格改定に踏み切った。

 不況の深刻化で高額商品の買い控えの影響を強く受けている百貨店業界も円高に歓迎ムードだ。

 高島屋(大阪市中央区)は、11月から輸入衣料品の価格を10〜20%値下げしたほか、洋食器なども値下げ。クリスマスや年末年始の“勝負時期”を控え、「食材、プレゼントの需要が見込め、この時期の円高はプラス」(同社広報IR室)。

 また、ビックカメラ(東京都豊島区)は11月下旬と12月上旬に「円高還元スペシャルウイーク」と題して、海外ブランドの高級時計を最大1万〜2万円値引き。現在もロレックスなど輸入時計の一部を、円高の状況に合わせて値下げしている。

◆韓国への旅行客が大幅増

 旅行業界も急激な円高傾向に期待する。

 「円高が進めば、今後の燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)の低下もあって海外旅行需要は増える」(JTB広報室)と見込む。

 同社によると、23日から1月3日までの年末年始の予約状況は、円高を背景に韓国、台湾、グアムなどの近隣地域やヨーロッパが人気。特に、韓国通貨ウォンは1年前の半値レベルとあって旅行人数は24%も上昇している。10月以降の同社店頭での外貨販売も前年比2ケタ増。「円高傾向に対し、海外旅行者が敏感に反応している」(同)という。

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