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2008年12月12日(金) 23時08分

<メバチマグロ>本格的な資源管理に前進 巻き網漁で課題も毎日新聞

 中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)が12日、メバチマグロ漁獲量の3割削減を決めたことについて、水産庁は「大きな前進」と評価している。減少が懸念される太平洋のメバチマグロについて、ようやく本格的な資源管理を導入できるからだ。ただ、今回は資源悪化の元凶とされる巻き網漁について明確な数量規制が導入できなかったことで、実効性に疑問も残す形となった。

 太平洋中西部のメバチマグロについて、水産庁は「現時点では資源量は豊富だが、今のペースでとり続けると適正水準を下回る恐れがある」と指摘する。世界的な魚食ブームでマグロ消費が拡大し、乱獲傾向が強まっているためだ。

 漁獲量を押し上げているのが、漂流物に集まる性質を利用した「浮き魚礁」などを使い、マグロを一網打尽にする巻き網漁船だ。日本のはえ縄漁船は狙ったマグロの成魚だけをとり、漁獲量もコントロールしやすいが、外国漁船は巻き網漁が主流で、狙った魚以外にもさまざまな種類や大きさの魚が混獲される。その「被害」を被っているのがメバチマグロの稚魚だ。

 今回のWCPFCでは、日本や欧州連合(EU)が巻き網についても数量規制をするよう主張したのに対し、多くの国が集魚装置による操業の一部停止を求め、両方を選択肢とする「折衷案」になった。とれた魚をそのまま缶詰工場などに運ぶ巻き網の手法では数量チェックが難しいことなどが理由だが、裏を返せば「3割削減」が担保されているとは言い難い。

 中西部以上に資源悪化が進みながら漁獲規制の合意ができていない太平洋東部も含め、巻き網漁による乱獲にどう歯止めをかけるかが、持続可能なマグロ漁業確立へ向けた決め手になりそうだ。【行友弥】

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