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2008年12月12日(金) 20時07分

麻生首相「小沢氏も審議協力の約束をもらっている」産経新聞

 12日夜の麻生太郎首相の記者会見。総額23兆円の「生活防衛のための緊急対策」では、テーマは金融から、国会運営へと移った。記者会見の詳細は以下の通り。

 【金融市場対策】

 「3番目が金融市場、資金繰り対策であります。この年末、中小企業では資金繰りを心配しておられる方々も多いかと存じます。まず政府は第1次の補正予算において、6兆円の緊急信用保証枠と、3兆円の政府系金融のセーフティーネットの貸し出しと、合わせて9兆円を用意をしております。ここ一両日をみましても、一日に1000億円前後の保証を実施しております。まだ、4兆円以上の保証枠が残っております。営業日日数で約30日。この間の話です。年末に向けて十分な資金が用意してあるということです。これに加えて、おかげさまで本日、金融機能強化法が成立をいたしております。これに基づきまして、貸し手側の対策、と前から申し上げておりましたが、政府の資本参加枠を現在の2兆円に、10兆円追加して12兆円といたします。これによって、企業への貸し渋りや貸しはがしが生じることがないよう、金融機関が安心して地域経済や中小企業に対して、資金供給ができる環境がさらに整備されることになります」

 【金融面での対応】

 「借り手側の対策であります、信用保証枠の拡大と合わせて、この貸し手側の対策によって、中小小規模企業の金融対策に万全を期してまいりたいと考えております。次に中堅大手企業の資金繰り対策として政策金融による資金対策業務の発動を行います。これは一時的に資金繰りが悪化をきたしている中堅企業に対して政策投資銀行や商工中金を通じて資金繰りを支援するものであります。企業の短期約束手形、通称コマーシャルペーパーというんですが、このCPの使用において起債環境が悪化しております。企業の資金繰りが結果として厳しいものになっております。そこで危機対応業務を活用して政策投資銀行を通じたCP、コマーシャルペーパー買い取りのスキームを設けることとします。本年度中に危機対応業務として、3兆円の融資枠を設定します。さらに日本銀行において、市場への潤沢な流動性供給のための施策を実施していただけるよう、政府として期待をしているところです」

 【住宅金融対策】

 「金融機関に対しては年末ならびに年度末の企業金融に対し、特段の配慮を要請することといたします。さらに、住宅不動産市場対策、とくに住宅不動産市場では健全な事業につきましても、金融の目詰まりがあります。そのため、住宅不動産事業者に対する政策金融のいわゆる危機対応業務に加え、住宅金融支援機構が住宅不動産事業者に対し事業資金の調達の支援を行います。住宅機構からの時限的な融資は年内に開始します。また、来年度の税制改正においては過去最大の住宅ローン減税を行うとともに、自己資金で、自己資本で住宅を購入する場合などの減税も新設することにより、住宅を購入しやすくいたしたいと思います。以上のような内容を政府与党政策責任者に指示し、ここにおられる与謝野大臣に取りまとめをお願いいたしました。政府・与党、予算編成作業を急ぎ、年末までにその全体像をお示しいたします。今回の世界の大不況、まあ、世界の大不況は100年に一度の規模とも言われています。日本もこの大きな津波みたいなものから枠外にいる、逃れるということはできないと存じます。しかし、的確な対応を早急に打つことで被害を最小限に抑えるということは可能だと存じます」

 【国会召集】

 「次に、この対策の実行について申し上げます。これらの対策を実現するためには第2次補正、その関連法案、そして税制改正も含めて、平成21年度当初予算とその関連法案を早急に成立させ、切れ目なく実行する必要があります。そのため、自明のことではありますが、年明け早々、1月5日に通常国会を召集し、これらを審議していただこうと考えております」

 【民主党に協力要請】

 「民主党の小沢(一郎)代表には先月の党首討論におきましても、審議に協力し早急に結論を出すとお約束をいただいております。国民生活を守るため、ぜひこれらの予算と関連法案の一刻も早い成立をご協力いただくことを改めてお願いする次第です」

 【中期プログラム】

 「最後に社会保障、税改正の中期プログラムについて申し上げます。

大胆な財政出動をするからには、中期の財政責任もきちんと示さなければなりません。また財政責任のあり方をきちんと示すからこそ大胆な財政出動が可能となる。これが責任政党の原点であり矜持(きょうじ)だとも存じます。私は大胆な行政改革を行った後、経済状況を見た上で、3年後の消費税の引き上げをお願いしたいと過日申し上げました。この立場はまったく変わっておりません。その前提条件として、大胆な景気対策をやる一方で、社会保障の安全強化のため、消費税負担増の準備をやらなければならないと考えております。経済状況を見ながら与党税制改正大綱の範囲内で、2011年度から消費税を含む税制抜本改革を実施したいものと存じております。そのため必要な作業を政府内で始めるよう、与謝野(馨経済財政担当)大臣、中川(昭一財務)大臣に指示をいたしたところです。いろいろと批判がでることを承知をいたしております。それでも責任与党として、最後はご理解いただけることを信じております。逃げずに正直に社会保障の安心強化というものを進めてまいりたいと考えております、国民のみなさまの一層のご理解をお願いさせていただければ幸いであります。以上です。ありがとうございました」

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