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2008年12月12日(金) 10時28分

<たばこ増税>なぜ見送り?穴埋めは?(下) 社会保障費財源、代案は不透明毎日新聞

 「(社会保障費抑制の新たな手段を)今、与党と調整している最中だ」。与党税調がたばこ増税の見送り方針を固めた11日、首相官邸を訪れた中川財務相は声を上ずらせた。

 医師不足などの社会保障政策への批判や次期衆院選をにらんだ与党の歳出圧力の高まりに、財務、厚労両省は「09年度は2200億円達成は無理」と見越し、たばこ増税の実現で抑制額を事実上、半分に圧縮するシナリオを描いていた。

 財務省の試算で、たばこ1本当たり3円(1箱60円)の増税で国の増収分は1500億円となるが、同省は値上げによる販売減を勘案し税収増を1200億円と見積もり、残り1000億円分を後発医薬品の利用促進(400億〜500億円)や雇用保険の国庫負担(1600億円)の一部削減などで賄う算段を立てていた。

 たばこ増税が見送られ、シナリオは土台から崩壊した。

 厚労省は、厚労族議員が2200億円抑制を明記した小泉政権の「骨太の方針06」の撤回を強く主張していることもあり、新たな削減策探しには消極的だ。

 一般財源化する道路特定財源から1000億円規模で社会保障に資金を回す案や、重要政策に予算を重点配分する「重要課題推進枠」(3300億円)を活用する案などが浮上しているが、「たばこ増税以上につじつま合わせ」(与党幹部)。

 たばこ増税見送りが確定的となった11日午後、財務省主計局幹部は自民党本部で善後策の協議に奔走したが、代替策の見通しは立っていない。

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