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2008年12月11日(木) 21時42分

「空売り規制」効果なし? 20%の高水準 渦巻く不満産経新聞

 金融危機で低迷する株式市場の下支え策として、東京証券取引所と大阪証券取引所が、証券会社などから株式を借りて売り注文を出す「空売り」の残高情報の公開を始めてから、1カ月が経過した。大口の空売り実施者のデータを開示するなどの規制強化にもかかわらず、空売りは高水準で推移し、相場も依然浮上しないままだ。

 空売り残高の情報公開は、原則として発行済み株式総数の0・25%以上の空売りを行った証券会社や投資家について、氏名や住所などの情報を公開するようにした。

 だが、一連の規制強化が実施された後も、市場全体の売買代金に対する空売りの比率は、ほぼ20%前後で推移。当初、見込まれた相場の下支えについても、日経平均株価は依然8000円台から抜け出せず、効果に疑問が残る状況だ。

 大和総研制度調査部の横山淳統括次長は「市場参加者間の相互監視機能を働かせ、空売りの悪用に対する抑止力にはなる」と評価する。しかし、一定以上の空売りをした個人投資家が、その個人情報までも公開されるという点について、批判の声もある。

 金融庁は、空売り注文を受ける証券会社に株券の手当ての確認を義務づける案を公表するなど、さらに規制の輪を広げつつあるが、東証の斉藤惇社長が「そんなことをするのは日本だけ」と批判。証券業界でも「規制が実情に見合っていない」(大手証券関係者)との不満が渦巻く。

 8日に中川昭一財務相兼金融担当相が東証に斉藤社長を訪ね、「規制を厳しくし、事務作業を増やすことが目的ではない」と弁明するなど、歩み寄りの姿勢を示した。横山氏も「何を規制すべきなのか改めてもう一度整理する必要がある」と指摘する。

 空売り規制をめぐる混乱を見透かしたように、東証は連日薄商いが続き、投資家離れが止まらない。市場の混乱が長期化すれば、企業の財務や家計に影響が及ぶのは避けられず、日本の景気後退が深刻なものとなる懸念も強まっている。

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