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2008年12月11日(木) 16時46分

【総連事件調べ官尋問】「悪い政治家捕まえて」特捜部を激励した満井被告産経新聞

 《満井忠男被告を取り調べたB検事に対する検察官の質問が続く。検察官は調書の日付に沿って、記載されていない満井被告の様子などを問いただしていく。満井被告は腕を組んで上目遣いにB検事を見つめ、共犯の緒方重威被告はさかんにメモをとっている》

 検察官「証人は(平成19年)7月23日、満井が朝鮮総連から受け取った金の使途などについて2通の調書を録取していますが、満井は何と話したのですか」

 B検事「緒方さんへの1億円は報酬、河江(浩司被告)さんへの1億円も報酬で、金主へのコストなどではないと話しました」

 検察官「満井被告の態度はどんな様子でしたか」

 B検事「特に隠しだてしているようではありませんでした」

 検察官「証人は7月27日、満井が総連に追加の金を要求した経緯について録取しましたね。その際、満井被告の供述で印象に残っていることはありますか」

 《「追加の金」とは満井被告らが総連側から受け取った計4億8400万円のうち、4月24日ごろに受け取ったとされる5900万円のこととみられる》

 B検事「2点ありまして、1点目は緒方さんが4月下旬ごろ、電話で満井さんに対し『(総連中央本部の)土地・建物の評価額が34億くらいなんだから、35億にしてもらおう』と言ったということ。2点目は役割分担というか売買額を35億に上げることについて、総連側に伝えるのが緒方さん、追加の金については満井さんが説明すると、満井さんが言っていたことが印象に残っています」

 検察官「7月27日以降、満井が証言や署名を拒んだことはありますか」

 B検事「署名をためらったことは1度ありました」

 検察官「どの場面ですか」

 B検事「(東京・六本木の通称)TSKビルの絡みで、○○(空手団体総裁、実名)との報酬契約に関してです」

 《TSKビルはこれまでの公判でも何度も登場したいわくつきのビル。緒方・満井両被告は、このビルの地上げで資金を必要としていたため、朝鮮総連をめぐる一連の詐欺を思いついたいたというのが、検察側の描く事件の構図だ》

 検察官「満井は何と言ったのですか」

 B検事「『○○はどうも仲間内に内緒で裏金的なものを集めていたようで、しかし、自分がそれを検事さんに話すと恨まれる。さらに○○は右翼だから、自分の命を考えると署名しにくい』と言いました」

 検察官「それに対し、証人は何と言いましたか」

 B検事「調書は裁判になっても弁護士が見るだけですし、契約書の類はすべて証拠物として押収されていますよと言うと、『それなら結構です』と言ってサインしました」

 《満井被告に被害が及ぶ可能性を証言しながら、B検事は満井被告の供述を暴露してしまった。満井被告はこれまでの公判で、B検事から威圧的な取り調べを受けたと主張してきた。一方、B検事の証言からはその一端すらうかがうことができない。さらにB検事は、満井被告と人間関係を築いた「根拠」となる供述を披露した》

 検察官「証人は8月7日に満井の調べを終えていますが、満井は最後に何か言いましたか」

 B検事「はい。満井さんとは互いの家族や仕事のことに至るまで、50日以上にわたって語り合いました。満井さんは最後に涙を流しながら『検事さんの情熱でぜひ、これから悪い政治家を捕まえてください。私はマレー半島の運河を開発する事業をがんばりますので』と言いました。さらに、事務官の××(実名)に対し、満井さんは『いい検事に仕えましたね』と言いました」

 検察官「東京地検特捜部に対して、何か言っていましたか」

 B検事「『実に緻密(ちみつ)な捜査をやっておられる。その力で悪い政治家を捕まえ、日本を良くして下さい』と言いました」

 《B検事の証言を聞き、満井被告はなぜか笑みを浮かべた。事実を暴露された気恥ずかしさか、虚偽の証言をされたことに対する嘲笑か、その表情からは判断がつかなかった。検察側の質問はここで終了し、満井被告の弁護人の質問に移った。弁護側はB検事に対し皮肉たっぷりに口火を切った》

 満井被告の弁護人「ようやくB検事にお会いすることができましたねえ」

 B検事「…」

 満井被告の弁護人「あなたは先ほど満井被告が、緒方被告を船長に、満井被告自身をクルーに例えて供述したと証言されましたね」

 B検事「はい」

 満井被告の弁護人「それは満井被告でなく、あなたから出た表現ではないですか」

 B検事「違います。満井さんが自白する場面で、満井さん自身の供述による言葉です」

 満井被告の弁護人「自白したとされる日以降、船長とかクルーという言葉を使って、あなたが満井被告に話しかけたことはありますね」

 B検事「ありません」

 満井被告の弁護人「ほう。では、あなたは否定すると思いますが、朝鮮総連中央会館の売買が持ち込まれた経緯について、満井被告を調べた際、満井被告は許宗萬(朝鮮総連責任副議長)さんの名前を出していませんでしたか」

 B検事「名前が出た部分については、調書にしています」

 満井被告の弁護人「ふーん。売買のとっかかりの部分で、許さんの名前は出てきていませんか」

 B検事「出ていません」

 満井被告の弁護人「ペルーの元大統領の関係で名前が出てきた女性はいましたか」

 B検事「△女史(実名)のことだと思われますが、満井さんは△女史について『私とも総連とも知り合いなので、△女史が私が資産を持っているとどこかから聞いたのではないでしょうか』などと言っていた記憶があります」

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