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2008年12月11日(木) 15時56分

【総連事件調べ官尋問】「緒方先生は船長、我々はクルー」産経新聞

 《証人として出廷したB検事は、満井忠男被告への取り調べ状況を詳細に明らかにしていく。「何を言っても聞いてくれない」と、取り調べを担当した検事への不満を声高に主張してきた満井被告。だが、検事の口からは朝鮮総連本部の土地・建物をめぐる不動産詐欺事件について、取り調べ当初、涙ながらに犯意を認めていた満井被告の別の姿が明らかになった》

 検察官「満井被告は平成19年6月28日逮捕されましたが、そのときの様子はどうでしたか」

 B検事「逮捕状を執行したときはショックで動揺していました」

 検察官「(朝鮮総連本部の土地・建物の売買契約をめぐる)不動産詐欺について、満井被告はどんな供述をしていましたか」

 B検事「『(航空ベンチャー会社社長の)Aが(購入に必要な)金を出すと信じていた』と話していました」

 検察官「そのときの満井被告の態度は?」

 B検事「開き直っていたという態度ではなかったです。『Aに直接会わずに(朝鮮総連側と)契約して登記してしまったことは落ち度があった』ということを話していました」

 検察官「Aが金を出す根拠について、満井被告は何か言っていましたか」

 B検事「『緒方(重威被告)さん、河江(浩司被告)と東京駅で会ったとき、Aさんがお金を出す、と言われたので、Aさんが金を出すと信じていました』と言っていました。

 《B検事はその後、Aさんが本当に購入資金を出すと信じていたのか、厳しい質問を投げかけていった様子を明らかにする。この間、満井被告は真剣にメモを取っていた》

 検察官「証人はその後、どんな質問をしましたか」

 B検事「3点ありました。まず、満井被告が不動産のプロとして、(不動産の)買い主がお金を払うと判断する根拠について尋ねました」

 検察官「それに対して満井被告は?」

 B検事「『大金が動く不動産取引では、俺は払うことができる、などと大きなことを言うヤツは払えないものだ』などと言っていました」

 検察官「2点目は?」

 B検事「朝鮮総連の物件について、(満井被告の主張する)根拠が当てはまるかどうかを聞きました。それに対して、満井被告は『今回の物件は、北朝鮮の(実質的な)大使館でもあり、政治がらみであって、簡単に買い主は見つからないだろう。政治的な妨害もあるだろう。直接、自分が話をして買えるかどうか判断する』と話していました」

 検察官「3点目は?」

 B検事「(朝鮮総連の土地・建物の購入資金を調達する)Aさんが登場するまでの経緯を尋ねました。それについて、満井被告は『河江(被告)が連れてきた金主候補のグループが次々と頓挫する中、Aさんを連れてくるまで、河江(被告)のことを信じていなかった』と言っていました」

 検察官「証人はそれに対して何と言いましたか」

 B検事「『Aさんが本当に金を払うと思っていましたか』と聞きました」

 検察官「それに対して、満井被告は何と言いましたか」

 B検事「印象的だったので当時のことを覚えていますが、顔を紅潮させながらうつむいて、涙を浮かべていました」

 検察官「それでどうなりましたか」

 B検事「こちらを向いて、『Aが確実に金を払うとは思っていませんでした。ただ、朝鮮総連側にはAが払うと事実に反することを言い、朝鮮総連をだましました』と言いました」

 《検事は満井被告が完全に犯意を認めた“完落ち”の情景を詳細に語った。満井被告は相変わらず、下を向いてメモをしっかりとっている。あとで反論材料にでもするのだろうか》

 検察官「なぜ、満井被告はそう供述したと思いますか」

 B検事「満井被告は感極まった様子で、『検事さんにあったときから(犯罪)事実を認めようと思っていた。ただ、緒方さんも関わる話だから悩んでいた。でも、いつまでも悩んでいてもしょうがないので、あったことはあったこととして話します』と言いました」

 検察官「それに対して、証人はどうしましたか」

 B検事「私としては、満井被告が不動産詐欺を認める初めての調書となるので、『しっかりと閲読してください』と言いました。満井被告は閲読後、調書にサインしました」

 《検察官は担当検事に対し、登記を先行させた動機について取り調べた状況についても質問していく。満井被告はあいまいな供述を繰り返し、担当検事もいらだちを募らせるが、ついに満井被告は思わぬ供述を口にしたという》

 検察官「(購入資金を後で払うという条件で)登記手続きを先行させた動機については?」

 B検事「矛盾したことやいい加減なことを繰り返すので、『ちゃんと話してくれませんか』と言いました」

 検察官「それに対し、満井被告はどんな様子でしたか?」

 B検事「言葉に窮した様子で、おしだまってしまいました」

 検察官「それからどうなりましたか」

 B検事「しばらく、うつむいていましたがぱっと意を決したように開口一番、『船長の緒方先生が決めたことで、クルーである我々は従ったまでのこと』と今言いました」

 検察官「それに対して何と聞きましたか」

 B検事「『どういう意味ですか』と聞きました。満井被告は平成19年5月31日の都内のリッツカールトンホテルでのことを(次のように)言いました。緒方、河江、満井被告は3人で会い、河江がそこで『Aさんが(購入資金の)35億円を払うことの確認が取れていない』と言いました。そこで、緒方被告がテーブルをパンと叩き、『今日、契約を締結しよう』と言いました」

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