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2008年12月11日(木) 19時35分

“自民分裂誘発”は不発 郵政株売却凍結法案を否決産経新聞

 民主、社民、国民新の野党3党が提出した日本郵政グループ各社の株式売却凍結法案は11日、衆院本会議で自民、公明両党などの反対多数で否決された。野党は法案採決を郵政民営化見直しの是非をめぐる「踏み絵」と位置づけ、復党組を抱える自民党の分裂を誘発する思惑もあったが、不発に終わった。ただ、同党内で民営化に関する対立は解けておらず、国民新党は次期通常国会で抜本的な民営化見直し法案を提出し揺さぶる構えだ。

 衆院本会議の採決で、自民党は武部勤元幹事長ら10人が欠席(閣僚を除く)した。しかし、欠席者には復党組はおらず、与党議員は粛々と否決に回り混乱は起きなかった。社民党幹部は「普通に終わってつまらなかった。期待外れだ」とため息をついた。

 もっとも野党側には、凍結法案が否決されることは織り込み済みだった。国民新党の亀井久興幹事長は本会議後、「凍結法案に反対したことは、抜本的な郵政見直しはやらないという意思表示ではないか。(自民党は)本気で見直す気はないと自ら証明した」と語った。綿貫民輔代表は、「選挙目当てで郵政票がほしいというような、よだれをたらす人たちのことは知らない」と述べ、自民党が11月下旬に立ち上げた「郵政事業検討・検証プロジェクトチーム(PT)」の動きをやり玉に挙げた。

 自民党PTは、与党が主導する形で次期通常国会に日本郵政グループの経営形態などを見直す法案提出を予定している。

 これに対し、郵政改革を金看板として断行した小泉純一郎元首相らは9日、「郵政民営化を推進し堅持する集い」を開き、見直し派を強く牽制(けんせい)した。

 PTが実際に民営化見直しに踏み切れば、党分裂の危機も招きかねない。一方で、次期衆院選では民営化の弊害が叫ばれる地方での苦戦が予想されており、郵政票をあてに見直し案を袖にできない事情もある。野党側から抜本的な見直し法案が提出されれば、麻生首相は難しいカジ取りを迫られそうだ。

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