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2008年12月11日(木) 11時03分

田母神論文問題で防衛省 アパとの関係を全職員調査産経新聞

 ■25万人対象「人権侵害」反発も

 田母神俊雄前航空幕僚長の論文問題に関連し、防衛省が同省・自衛隊の全職員約25万人に対し、懸賞論文を募集したアパグループ(東京都港区)との関係を調査していることが10日、分かった。民主党の要請に基づくものだが、全自衛官・職員が対象の調査は極めて異例だ。調査内容には、同グループが経営するマンション、アパートへの入居の有無まで含まれており、職員からは「プライバシーの侵害だ」との批判も出ている。

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 田母神氏は同グループが募集した懸賞論文に応募、政府見解と異なる意見を表明したとして10月末に空幕長を解任された。懸賞論文には他に空自隊員97人が応募しており、民主党は同グループと防衛省・自衛隊の関係を問題視する姿勢をみせている。

 防衛省によると、民主党は11月18日にアパグループからキャッシュバックを受けている隊員・職員がいないか、調査するよう要求。これを受け、同省は同月下旬から人事教育局を中心に全職員の調査を始めた。

 調査内容は(1)あらかじめポイントがたまったアパホテル・メンバーズカードの提供を受けたか(2)アパホテルへの宿泊の有無とその際割引サービスの提供を受けたか(3)同グループが経営するマンション、賃貸アパートへの入居の有無(4)入居者がいた場合は入居の際の部隊などからの斡旋(あっせん)の有無−などとなっている。

 同省は調査項目を記した文書を部隊などの各職場に配布し、回答を集計。該当者がいる場合は上司などがさらに詳細な聞き取り調査を実施している。これに対し、隊員からは「マンションの購入経緯まで探られるのは、人権問題」などの反発が出ている。また、全国のアパホテル所在地を記した資料を示され、過去の宿泊有無を問い詰められた職員もいる。

 同省人事教育局人事計画・補任課は産経新聞の取材に対し、「民主党の調査要求に応じて内部調査を行っているが、調査はあくまで任意で、問題はない」としている。ただ、現実には「応じなければ何らかの後ろめたさがあると、勘ぐられるのもいやで応じる隊員が多い」(自衛隊幹部)のが実情だ。

 民主党側の調査要求に対し、省内からは「民主党に要請されたからといって、強制力はないはず。そこまでやる必要はない」との指摘も出ている。

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