記事登録
2008年12月11日(木) 19時05分

被爆後の広島、鮮明に記録 写真家の乾板やフィルム初公開東京新聞

 広島市の写真家、故岸本吉太さん(1901−89年)が被爆の状況や街の復興ぶりを戦後8年間にわたって撮影、記録したガラス製の乾板やフィルムなど計200点の一部が11日、原爆資料館(同市中区)でマスコミに初めて公開された。

 岸本さんは戦前から地元で写真館を経営。爆心地の南約680メートルに建つ現在の中国電力本社屋上から、53年まで10回にわたり東西南北の風景をカメラに収めたほか、市内の各所を撮影した。

 原爆で娘を亡くし悲嘆に暮れていたが、「広島の記憶を記録にとどめるのが市民の義務だ」と思い立ったという。

 倒壊した建物に屋根を掛けて営業する銀行や、窓のないバラックなど、焼け野原の市街地に民家や道路が次第に整備され、復興していく様子が写し出されている。

 記録は原爆資料館で電子データ化し保存、現物は遺族に返還される。資料館学芸担当の下村真理さんは「63年前のオリジナルの乾板がそのまま残され、被爆の惨状が鮮明に伝わる貴重な資料だ」と話している。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008121101000554.html