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2008年12月11日(木) 08時34分

司法解剖の遺族向け冊子作製へ 「説明不足」との意向くみ東京新聞

 事件や事故で死亡した際に行われる司法解剖について、遺族の約7割が「実施理由などの説明が足りない」と感じていることが、東大法医学教室のアンケートで分かった。同教室は「遺族の心情にできる限り配慮すべきだ」として、警視庁と連携し、近く遺族向けに解剖の流れをまとめたパンフレットを作製する。

 司法解剖は捜査の一環として行われる。刑事訴訟法では初公判前に捜査資料を開示することを禁止しており、多くの場合、遺族にも詳細な解剖結果が伝えられないのが実態だ。

 アンケートは2002−06年に東大や山口大で司法解剖された人の遺族ら403人を対象に、同教室の吉田謙一教授、伊藤貴子特別研究員が実施。126人から回答を得た。

 アンケートによると、解剖手続きについて70%が「理解できなかった」と回答。詳細な解剖結果についても57・6%が「説明を受けていない」と答えた。

 遺族の中には解剖から1年後に検察庁から個別に書類を入手したり、公判記録を取り寄せたりして、ようやく結果を知ることができた人もいた。「(解剖後に)執刀医から説明を受けたい」という人は82%に上った。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008121101000104.html