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2008年12月11日(木) 03時28分

あなたの夢、映像化できるかも!? 東京新聞

 人の脳の血流変化を調べ、その人が見ている図形や文字を映像化することに国際電気通信基礎技術研究所(ATR、京都府精華町)などの研究チームが世界で初めて成功、11日付の米科学誌ニューロンに発表した。チームは「技術を発展させれば、寝ている人の夢を画像として取り出すことも可能だ」と話している。

 実験では、脳などの血流を見ることができる「機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)」を使用。まず、この装置でチームのスタッフらが目の前の画像を見た際に、大脳の視覚野の血流がどう変化するかを調べた。

 画像は正方形で、縦横それぞれ10列、100のマスを白黒で色分けすることで図形などを表現。約400枚の画像を1枚当たり12秒間見せて血流変化のデータを蓄積、画像の模様と脳活動を関連づけるコンピューターのプログラムに学習させた。

 その後、アルファベットなど新たな模様の画像を見せて脳の活動を測定し、プログラムで解析すると、ほぼ元の画像を再現できた。

 頭の中で描くイメージを直接取り出せれば、デザインや芸術分野への応用も可能。幻覚症状を伴う精神疾患の新たな治療法の開発につながるとも期待される。

 ATR脳情報研究所の神谷之康室長は「今回の手法は、視覚だけでなく他の感覚にも応用できる。将来は、感情など複雑な心の状態も読み取れるようになるかもしれない」と話している。

◆カラーで再現可能

 理化学研究所脳科学総合研究センターの程康(チェンカン)認知機能表現研究チーム副チームリーダーの話 今回の成果は、脳の活動を解読する研究にとって大きな前進といえる。測定精度を上げていけば、カラーでの再現も可能。この分野の研究の進歩は早く、10年後には脳の分析から、人が何を考えているかある程度分かるようになっている可能性もある。

(中日新聞)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008121190032806.html