記事登録
2008年12月11日(木) 23時45分

<ビッグ3>米上院反対派説得焦点に 下院救済法案可決で毎日新聞

 【ワシントン斉藤信宏】米下院が10日、自動車大手3社(ビッグ3)の救済法案を可決したことで、焦点は上院での採決に移った。上院(定数100)は民主党50議席、共和党49議席と勢力が拮抗(きっこう)し、共和党には反対が多く、可決できるか微妙な情勢。ビッグ3の命運は、米政府と民主党が共和党の法案反対派をどこまで説得できるかにかかっている。

 米政府が同法案で民主党と基本合意したことを明らかにした直後、共和党の上院議員5人が急きょ会見。「問題の先送りに過ぎない」(シェルビー議員)、「連邦破産法11条を申請して、リストラの専門家に処理を委ねるべきだ」(エンザイン議員)などと批判し、ビッグ3救済に反対の立場を鮮明にした。

 もともと共和党は「小さな政府」志向が強く、「なぜ自動車業界だけ救済されるのか」と反発する議員が少なくなかった。CNNの世論調査で「6割が救済反対」という国民の反応も議員の態度を硬化させている。

 失業後も給与の8〜9割が保証されたり、退職後の医療費のほとんどを会社が負担する制度など従業員への厚遇が、ビッグ3の経営危機を深刻化させたとされる。共和党議員が破産法適用にこだわるのは、こうした「負の遺産」を解消する近道であることに加え、民主党の固い支持基盤である全米自動車労組(UAW)の弱体化にもつなげられると踏んでいるからだ。

 ただ、ビッグ3のうち1社でも破綻(はたん)すれば不況は一気に深刻化し、失業者も急増する恐れが強い。金融安定化法の否決で株価が暴落した9月末のような状況になれば、国民の非難が共和党に集中する可能性もあり、チェイニー副大統領が直接議員を説得していると報道されるなど共和党内でも事態打開への動きが活発化しつつある。

【関連ニュース】
ビッグ3:米下院、救済法案を可決
ビッグ3:救済法案 米政府と民主党が基本合意
ビッグ3:低燃費車や環境対応車開発に注力…米議会公聴会
米上院:ビッグ3支援審議の公聴会再開 下院は5日に
GM:がけっぷち…12月2日までに米議会へ再建策

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081211-00000149-mai-bus_all