記事登録
2008年12月10日(水) 00時00分

ソニー、世界で1万6000人削減へ 業績不振で09年度中国新聞

 ソニーは九日、二〇〇九年度末までに、薄型テレビなどエレクトロニクス事業の正規社員約十六万人の5%に当たる約八千人を削減するほか、全世界の非正規社員も八千人規模で削減すると発表した。削減規模は合計で一万六千人となる。異例の大規模リストラを実施することで、〇九年度末までに年間千億円以上のコストを削減し、収益の改善を目指す。人員削減の対象には日本も含まれるため、国内の雇用情勢に大きな影響を与えそうだ。

 世界的な金融危機の影響でAV機器などの需要が落ち込み電機業界の業績は低迷しており、ソニーは国内外の製造事業所の統廃合を進める方針だ。

 ソニーはグループ全体で国内に六万人強の正規社員を抱え、エレクトロニクス事業が中心。国内では自動車や電機大手各社で人員削減が相次いでおり、雇用環境の悪化は避けられそうにない。

 ソニーは、〇九年度末までに現在、世界五十七拠点ある製造事業所を約一割削減する。国内拠点も対象になる見通し。まずはフランスなど海外拠点二カ所で〇八年度内に生産を終了する方針。

 また、エレクトロニクス事業の〇九年度投資額を、六月発表の中期経営方針より三割減らす。欧州市場での液晶テレビの生産拠点であるスロバキア・ニトラの工場の増産投資を延期するほか、〇八年度中に熊本県にある半導体工場(菊陽町)で増産投資を一部凍結して、生産の外部委託を進め、コストを減らす。

 ソニーの原直史はら・なおふみ業務執行役員は「世界同時不況で事業環境は厳しい。逆境を乗り越えるため収益改善策を迅速に進める」としている。

 ソニーの業績は、AV機器などの需要低迷に加え、急激な円高が追い打ちとなり、二〇〇九年三月期連結決算の純利益は前期比約六割減の千五百億円の見通し。現在の為替レートはソニーの想定より大きく円高に振れており、今後の為替の動向次第で業績が下振れする可能性がある。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200812100146.html