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2008年12月10日(水) 21時04分

<石綿被害>退職者にも団交権 神戸地裁、初めて認める毎日新聞

 アスベスト(石綿)被害の救済を巡り労働組合「ひょうごユニオン」(神戸市)が、退職者に団体交渉権を認めないとした兵庫県労働委員会の決定の取り消しを求めた訴訟の判決が10日、神戸地裁であった。橋詰均裁判長は「会社はユニオンと団体交渉をする義務を負う」として決定を取り消し、退職者の団体交渉権を認める初の司法判断を示した。石綿関連疾患の発症に対する「将来の不安」も併せて認めており、被害者にとって画期的な判決となった。

 判決によると、ユニオンにはタイヤ製造大手「住友ゴム工業」(神戸市)元従業員の正木紀通さん(68)、白野光造さん(71)と、00年に中皮腫で死亡した元従業員(当時69歳)の妻が加入。元従業員3人は、石綿にさらされる可能性があるタイヤ工場で40年前後にわたって働いていた。

 裁判では、3人と同社に労働契約関係が存在するかが争点となった。判決は「在職中に発生した事実を原因とする紛争に限り、表面化した時点で退職していても未清算の労働契約関係が存在する」と基準を判示。その上で未発症の正木さんと白野さんについて、死亡した元従業員と同様の仕事をしていたことから将来の石綿被害の可能性を認め、2人についてユニオンの団交権を認めた。

 一方、死亡した元従業員の妻については「夫はユニオンに加入していない」として認めなかった。【山田泰蔵】

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