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2008年12月10日(水) 16時21分

大阪市内で覚醒剤大量密売 イラン人組織、進出か産経新聞

 大阪市内の住宅街でイラン人の男が覚醒(かくせい)剤など違法薬物を大量に密売していたことがわかり、近畿厚生局麻薬取締部は10日、覚せい剤取締法違反(営利目的所持)容疑で無職のアリ・レザ・ジャムシディ容疑者(31)を逮捕したと発表した。売り上げは2カ月間で約6300万円。関西ではこれまでイラン人の密売組織の活動は確認されていなかったが、麻薬取締部は背後に東京を拠点にしたイラン人グループが存在し、関西に進出している可能性があるとみて捜査を進めている。

 ジャムシディ容疑者は調べに、「日本に行けば薬物の密売でもうかると聞いたので日本へ来た」と供述。1日の売り上げが100万円を超えることもあったという。

 調べでは、ジャムシディ容疑者は11月19日、大阪市東成区東今里1丁目のマンションの一室でポリ袋入り覚醒剤28袋(約2・6グラム)を営利目的で所持していた疑い。麻薬取締部が押収したノートなどを調べたところ、9月10日から逮捕されるまでの2カ月間で約6300万円を売り上げていたことを確認した。

 ジャムシディ容疑者は9月4日、偽造した英国旅券で成田空港から入国後、大阪市東成区内のマンションを拠点に密売を開始。ファミリーレストランやスーパーマーケットの周辺など近隣の指定場所へ自転車で行き、路上駐車の乗用車内で待機する客などに配達し、販売していた。

 密売拠点のマンションからは覚醒剤(約86グラム)のほか、大麻(約260グラム)、コカイン(約40グラム)、合成麻薬の「2C−B」と「MDMA」なども見つかった。密売価格は覚醒剤0・1グラムが1万円、乾燥大麻0・5グラムが5000円、コカイン0・3グラムは1万円などで、浴室の天井裏には売上金約410万円が隠されていたという。

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 ■素人が入国1週間で密売人

 「イランでは独身なら1万円あれば10日は暮らせる。日本人はどうしてあんな高いもの(違法薬物)を買うのか不思議だ」

 調べに対し、こんな供述もしているというジャムシディ容疑者は、密売で稼ぐために日本へやってきた。9月4日に成田空港へ入国したが、日本語が話せないうえ、薬物密売に関してもまったくの素人だった。

 同月8日に来阪。大阪市東成区内のマンションで密売グループ関係者から2日間にわたり薬物の小分けや密売の方法について指導を受けた。そして、入国から1週間もたたない同月10日からは毎晩、地理もほとんど知らない大阪の街に出て、密売するようになった。

 密売の流れは、グループの男が持つ「客付き携帯電話」に注文が入ると、男がジャムシディ容疑者に連絡。あらかじめ地図上に設定された1番から16番までのポイントを指定し、自転車で密売に行かせるというものだった。

 「〇番の地点に止まっている白い車の男に覚醒剤を渡せ」。記号化した単純な指示を出すことにより、日本語の話せない外国人が末端の密売人として即戦力となっていた。

 麻薬取締部の捜査関係者は「関西ではイラン人による組織的な密売はないといわれていたが、短期間にこれほどの売り上げがあるとは予想をはるかに超えている」と驚きを隠さない。密売がいつごろから行われていたのか、購入客の特定も含め、薬物汚染の実態解明が進められている。

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