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2008年12月10日(水) 13時44分

米短期国債が異常事態、利回りゼロで300億ドル売却読売新聞

 【ワシントン=矢田俊彦】米財務省は9日、1か月物の短期国債(米財務省証券)の入札を実施し、落札利回りがゼロ%で総額300億ドルを売却したと発表した。

 米メディアによると、落札利回りのゼロは、2001年に1か月物の発行を開始して以来、初めての異常事態だ。景気後退入りした米経済への先行き懸念から、投資資金が目減りする懸念がある株、債券、原油などから、安全資産である国債に投資資金が流れている。

 国債入札は、8日に実施した3か月物でも落札利回りが0・005%と、1929年の3か月物国債の入札開始以来の最低の利回りだった。

 また、9日のニューヨーク債券市場で3か月物短期国債の利回りが一時、マイナス0・01%まで低下した。米メディアによると、米国債の取引でマイナス金利となったのは史上初。通常、国債を購入した投資家は金利を受け取るが、金利を支払っても信用力が高い国債を買いたいという投資家が現れる事態となっている。

 国債への投資が増えている背景は、安全資産への逃避という側面だけではない。世界的な金融不安で、金融機関や企業の資金繰りが厳しくなっており、資金を調達する際に、担保となる国債を多く保有しておきたいという事情があるとみられる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081210-00000039-yom-bus_all