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2008年12月10日(水) 00時00分

あいりちゃん事件、差し戻し<動画あり>中国新聞

 木下あいりちゃん事件で、殺人や強制わいせつ致死などの罪に問われたペルー国籍のホセ・マヌエル・トレス・ヤギ被告(36)の控訴審判決が9日、広島高裁であった。楢崎康英裁判長は「重要な事実を判断するための審理が不十分」と判断。無期懲役とした広島地裁の1審判決を破棄し、審理を同地裁に差し戻した。弁護側は上告する方針。

 死刑の適否が争点となった裁判で、審理不尽の違法性を指摘し、審理やり直しを命じるのは極めて異例。

 楢崎裁判長は、1審が犯行場所を「被告の自宅アパートか、その付近」とあいまいな認定をした点を問題視。検察側が事実誤認の主張をしない中、「被告に有利な方を想定することもできるが、被告人方か屋外かは争点や犯情を判断する際の重要な事実で、重罪事件でもあり相当でない」と述べた。

 あいりちゃんの毛髪などが付着した毛布を、屋外に持ち出していないと受け取ることができるトレス被告の供述を記載した検察官調書の取り扱いにも言及。「供述が信用できるのなら、犯行は被告方で行われたと認定できる」と指摘し、公判前整理手続きで調書の任意性などを争点にせず、公判で証拠請求を却下した(1審の)裁判官の判断を「不可解」と指摘。検察側にも犯行場所の特定のために必要という主張をしなかった点で「不手際があった」とした。

 動画はこちら

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200812100102.html