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2008年12月10日(水) 00時00分

結論のない判決に戸惑う遺族中国新聞

 「遺族の苦しみはさらに長引くのか」。木下あいりちゃん事件の控訴審判決。広島地裁に差し戻す—。父親の自衛官木下建一さん(41)は9日、広島高裁の楢崎康英裁判長が読み上げた主文を聞き、戸惑いを隠せなかった。どんな結果でも、けじめをつけるつもりだった。が、結論のない判決が遺族に重くのしかかる。

 傍聴席の最後列。あいりちゃんの遺影をひざに、妻美和子さんと見守った。「死刑でも無期懲役でも受け入れる覚悟だった」。ショックを和らげるための心の準備をしていた。「どちらか言い渡してくれると信じていたのに」

 判決理由で何度も繰り返された「審理不尽」。迅速化を図る一審の公判前整理手続きが、結果的に裏目となったのか。「集中審理で、気持ち的に楽だったのは事実」と実感を込めながら、「争うべきことが争われていなかった」と複雑な思いを語った。

 望んだ真相解明は、審理で果たせなかった。「今後の裁判で再び真実を語る機会が出てくるかもしれない」。差し戻し判決に辛うじて見いだす意義は、ため息でかき消された。

【写真説明】<左>閉廷後の記者会見場で、あいりちゃんの遺影を取り出す父親の建一さん=9日午後5時半、広島市中区の八丁堀シャンテ(撮影・今田豊)<右>広島高裁に入る、あいりちゃんの父親・建一さん=9日午後1時40分(撮影・今田豊)

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200812100098.html