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2008年12月10日(水) 02時01分

ソニー、国内外で1万6千人以上の人員削減読売新聞

 ソニーは9日、不振が続くテレビやデジタルカメラなどのエレクトロニクス事業部門について、2010年3月末までに全世界で1万6000人以上の人員削減の実施を柱とするリストラ策を発表した。

 世界経済の減速や円高の進行で業績が急速に悪化しており、国内外で事業再編が不可欠と判断した。今回の景気悪化局面で、人員削減数は国内企業では最大規模。自動車各社に続き、電機大手のソニーが大規模なリストラを打ち出したことで、雇用不安が多くの業種に拡大する懸念が高まってきた。

 ソニーによると、削減は正社員が同部門(約16万人)の5%にあたる8000人。派遣社員も8000人以上の削減を検討している。現在、国内の28か所を含めて57か所ある製造拠点も、磁気テープなどの記録媒体を生産する仏ダックス工場など、5〜6か所を閉鎖する。熊本工場で増産を計画していた携帯電話向け電子部品事業の一部外部委託や、スロバキアでの液晶テレビ増産の延期などで、09年度の事業投資額も当初計画より約3割減らす。

 これらの対策で、年間約1000億円のコスト削減効果が見込まれるという。

 ソニーのエレクトロニクス事業は、売上高が全体の約4分の3を占める主力事業。08年3月期は、税引き後利益を過去最高に押し上げる原動力となった。ただ、赤字続きのテレビ事業を中心に販売不振に陥っており、同社は「今後、検討すべき対象はまだある」と、追加リストラの可能性を示唆した。

 ソニーは、ドルに対して1円の円高が進むと営業利益が40億円、対ユーロでは75億円それぞれ減少する収益構造になっている。世界的な消費低迷に加えて、ユーロやドルに対する最近の急激な円高で、業績は急速に悪化している。

 10月には、09年3月期の連結営業利益が前期比58%減の2000億円になるとの見通しを発表し、7月に予想した4700億円から大幅に下方修正した。これに合わせて、エレクトロニクス事業を中心にリストラ策の検討を進めてきた。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20081209-206556/news/20081209-OYT1T00541.htm