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2008年12月10日(水) 16時56分

牛のげっぷが重要…温暖化対策スポーツ報知

 牛のげっぷや水田などから出るメタン、窒素肥料の大量使用によって発生する一酸化二窒素など、農畜産業から出る温室効果ガスの量は世界全体の10—12%を占め、対策を取らなければ今後も急増が予測されるなどとした、気候変動枠組み条約事務局の報告書が10日、明らかになった。

 農畜産業関連分野は、工業や運輸部門に比べ削減対策が遅れており、対策の強化が急務。京都議定書に定めのない2013年以降の国際枠組み構築に向けた議論の中でも、促進策の策定が課題の一つになりそうだ。

 水田や畑などからは、微生物の働きで二酸化炭素(CO2)の20倍超と強い温室効果を持つメタンが発生。家畜の消化管で発生するガスにもメタンが含まれる。また窒素肥料の利用では、CO2の約300倍の温室効果がある一酸化二窒素が発生する。

 報告書によると、現在の農畜産分野からの排出量は、温室効果ガス全体の10—12%に相当する68億トン(CO2換算)に達し、1990年比で17%の増加。74%が発展途上国での排出だという。

 肉食の増加や人口増で今後も排出は増える見通しで、2020年にはメタン、一酸化二窒素ともに90年比で最大60%も増えるとの予測もある。

 一方で、肥料の適正使用や、農地や飼料の改良などによって30年には55億—60億トンの削減ができることも判明。報告書は、途上国への技術支援や排出量取引の利用といった政策措置の導入の重要性を指摘した。

 条約のデブア事務局長は「農畜産物に排出量を表示し、消費者が排出の少ないものを選べるようにすることも有望な対策の一つだ」としている。(共同)

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081210-OHT1T00230.htm