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2008年12月10日(水) 06時03分

内定取り消し53人に慰謝料100万円…就職氷河期本格化スポーツ報知

 マンション分譲の日本綜合地所が、来春入社予定の内定を取り消した53人に対し、補償として100万円を支払うことが9日、分かった。金融危機の影響を受け、業績が急激に悪化したことから、内定取り消しを実施した。同社では「最大限できることを考え、企業として誠意を示しておわびしたい」(広報担当)と説明。この日、一部学生らが会社側との話し合いを持ったが、平行線をたどった。

 日本綜合地所の広報担当によると、内定を取り消した53人(男性42人、女性11人)に対し、100万円の補償を支払う旨の文書を発送したのは今月6日。「社内コストを削りに削った結果、ギリギリで捻出(ねんしゅつ)する金額。学生の皆さんにはご迷惑をかける。誠意を示したい」と説明した。

 採用人数53人は、昨年度と同じくらい。10月1日には内定式も行い、同社は「採用は計画通り」と学生に告げ、来年度は東京か神奈川にある同社で働くはずだった。

 ところが金融危機で事態が一変。広報担当者によると、9月には200戸売れていたマンションが、10月は今年度初めて100戸を下回ったという。11月7日に決算を発表したが、業績の急激な悪化のため、3月決算で34億円を見込んでいた純利益を6000万円に大幅修正。株主への配当も「無配」となった。

 同社では11月、社内コスト削減に着手。給与削減などを行ったが、状況は改善されず、新入社員の受け入れは困難に。同17日、電話で内定者らに「来年4月以降の雇用が厳しくなった」と取り消しを通告。役員が各内定者の自宅を訪問し、謝罪と事情説明を行い、基本給2か月分の42万円の支払いを申し出た。

 しかし学生からは「もう1年留年して、また就職活動をしなければならない」「多くの企業が来春の採用募集を終えていて、もう就職は厳しい」と窮状を訴える声が続出。「42万円では到底納得できない、という声もあったと聞いている」(同担当者)。同社はこれを受け、“慰謝料”を100万円に引き上げ。しかしこの日同社が行った説明でも、学生らは納得しておらず、同社では13日、説明会を改めて行う予定。

 リクルートの研究機関のワークス研究所が9日発表した2010年卒の大学生・大学院生の採用調査によると、09年から採用を「減らす」と回答した企業は15・7%。前年調査の6・8%から大幅に増加した。金融危機に伴う景気低迷やメーカーの減産で、各企業が採用に慎重になっており、90年代半ばごろからの「就職氷河期」の再来が現実味を帯びてきた。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081210-OHT1T00107.htm