記事登録
2008年12月10日(水) 23時19分

6カ国協議、成果ないまま休会へ 北「試料採取認めず」 産経新聞

 【北京=水沼啓子】北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議首席代表会合は3日目の10日午後、北京の釣魚台迎賓館で全体協議を開催した。北朝鮮の核計画申告の検証枠組みの文書化を目指して調整が続けられたが、米朝間の溝は埋まらず交渉は難航した。協議は延長され11日も開催される予定だが、成果のないまま休会となる見通しだ。

 協議終了後、米首席代表のヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は記者団に対して「まったく進展がなかった」と述べ、前日、中国が提示した文書草案について「北朝鮮は議論のたたき台にしたくないようだ」と明らかにした。

 日本首席代表の斎木昭隆・外務省アジア大洋州局長は「11日も議論を続ける。立場の違いは容易に埋まるものではないとの印象を持った」とした上で、「(11日に)仮に休会することになっても交渉が終わることではない」と、休会の可能性を示唆した。

 協議筋によると、この日の全体協議では検証のあり方や進め方などに関する議論が中心だった。日米韓が強く求めている核施設での核物質のサンプル(試料)採取について、北朝鮮は認めないと表明。草案に関する実質的な協議に入らないまま終了したもようだ。

 国際原子力機関(IAEA)の関与や未申告施設に対する検証、検証開始時期などをめぐって北朝鮮との溝が大きく、文書化にあたり玉虫色ではなく明確な表現を求める日米韓などとの間で、調整が不調に終わったとみられる。

 特に北朝鮮は、核の無能力化の見返りとなるエネルギー支援の早期完了を求め、「検証の実施は支援の完了後」とする姿勢を崩していない。北朝鮮首席代表の金桂寛外務次官は来年1月に発足するオバマ次期米政権との交渉をほのめかしており、今回の6カ国協議は開催を前に難航が予想されていた。

【関連記事】
【今、何が問題なのか】北の人民は大丈夫なのか
6カ国協議交渉難航、休会も 核の検証方法で北と各国の溝が埋まらず
米、北にNPT復帰公約を要求か 核検証で韓国報道
6カ国協議 日本「合意急ぐ必要ない」 
6カ国協議 中国が検証文書草案を提示 斎木局長「見通し厳しい」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081210-00000617-san-int