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2008年12月10日(水) 23時14分

<ノーベル平和賞>アハティサーリ氏、授賞式で紛争解決訴え毎日新聞

 【ロンドン町田幸彦】インドネシア・アチェ和平合意やコソボ紛争などの調停活動に尽力したマルッティ・アハティサーリ前フィンランド大統領(71)へのノーベル平和賞授賞式が10日、ノルウェーのオスロ市庁舎で開かれた。アハティサーリ氏は受賞演説で「紛争解決のため国連強化が重要」と強調し、世界的な金融危機の影響で苦境に立つ途上国への支援を訴え、オバマ米次期大統領が中東和平交渉を上位の優先課題とするよう求めた。

 式典ではアハティサーリ氏に金メダルと証書が贈られた。賞金は1000万スウェーデン・クローナ(約1億1200万円)。

 アハティサーリ氏は旧フィンランド領ビープリ(現ロシア領)生まれ。外交官生活を経て国連ナミビア事務総長特別代表を務め、94〜00年にフィンランド大統領。その後、北アイルランド紛争の武器査察やアチェ紛争の和平合意、セルビアからの独立容認に道を開いたコソボ調停に携わった。

 アハティサーリ氏は演説で「戦争と紛争は回避不能ではない」と指摘。紛争では一当事者が勝利を宣言できるが、平和構築に際してはすべての当事者が関与しなければならないと持論を語り、その上で「本当の仕事は和平合意締結後に始まる」として、調停活動の長期持続の必要性を力説した。

 また、今後最大の課題が中東の紛争解決であるとし、米国に並んで欧州連合、ロシア、国連が協力してイスラエル、パレスチナ、イラク、イランにまたがる危機を打開するよう訴えた。演説の最後に「権力の座にいる者の言い訳を許してはならない。平和は意志の問題だ」と結んだ。

 ノーベル平和賞は近年、平和構築の評価対象を貧困対策や環境問題に広げる傾向が見られたが、アハティサーリ氏への授賞は戦争をなくす賞本来の目標に合致する形となった。

 アハティサーリ氏は授賞式前日の9日、セルビアやロシアが反対しているコソボ独立について「独立は維持されるであろうし、撤回できない」と強調した。またアフガニスタンで紛争当事者の協議実現に役立つのであれば、北大西洋条約機構(NATO)の駐留部隊増強を支持すると述べた。

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