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2008年12月10日(水) 22時49分

決裁規制、当面は見送り 宅配便の代引き、コンビニ収納代行など 産経新聞

 電子マネーなど、多様化する決済取引の規制について検討してきた金融審議会(首相の諮問機関)の決済作業部会は10日、一部の取引について当面の間、規制の導入を見送る方針を固めた。宅配便の代金引換サービスやコンビニエンスストアでの公共料金の収納代行、ポイントサービスなどでコスト負担を懸念する関係業界が反発しているためで、過去に目立ったトラブルがないことを考慮し、当面は規制対象としない方向だ。ただ「消費者の不利益にならない配慮は必要」との意見が多く、規制導入の議論は継続する。

 インターネット取引の増加に伴い、新たな決済手段がここ数年で急速に普及している。だが規制はあいまいで、金融庁は対象業種を整理したうえ、監督対象とする「金融業」と位置づけ、何らかの規制を導入する構え。来年の通常国会に関連法案を提出する方向で、金融審議会で5月から検討を進めてきた。

 検討対象のうち、宅配便の代金引換サービスは国土交通省の許可を受けた運送事業者が手掛けており、コンビニの収納代行は、業界団体の自主ルールに基づき行われてきた。関係業界では「過去に目立ったトラブルはない」と、金融庁の規制方針に強く反発。「経営危機に直面する運送業界で、経営コストの負担増になる」(全日本トラック協会)、「規制は消費者の利便性向上に反する」(日本百貨店協会)などの意見を、中川昭一財務相兼金融担当相あてに提出する事態となっていた。

 ただ、この日の議論では、消費者保護の観点から「規制は最小限にしても、消費者の安全性は確保すべきだ」「適切な監督がなされる必要はある」といった慎重論が多く出た。金融庁は作業部会での意見を整理し、別の形での規制の可能性も含め、再検討する。

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