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2008年12月10日(水) 22時18分

アスベスト被害で退職後の団交権認める 神戸地裁産経新聞

 「退職者は団体交渉を求めることができない」とした兵庫県労働委員会の決定は不当だとして、在職中のアスベスト(石綿)被害をめぐり、タイヤ製造大手の住友ゴム工業(神戸市)に団体交渉を求めた元社員2人が加入する労働組合が、決定の取り消しを求めていた訴訟で神戸地裁(橋詰均裁判長)は10日、「県労委は労働組合法の解釈を誤っている」として、決定を取り消した。

 裁判では、退職した労働者にも勤務していた会社との団体交渉が認められるのかが争点となったが、橋詰裁判長は「労働契約関係が存在した間に発生した紛争に限って、退職者でも団体交渉を求めることができる」として、退職者の団体交渉権を認定した。

 訴えていたのは、同社の元社員、正木紀通さん(68)=神戸市=と白野光造さん(72)=兵庫県明石市=が加盟する労働組合「ひょうごユニオン」。

 正木さんは昭和34年、白野さんは33年に同社に入社。それぞれ在職中にアスベストにさらされる可能性があるとされる業務に就くなどしており、2人が退職後加入した同労組が在職中のアスベストの使用実態や健康診断の実施を求め、同社に団体交渉を求めていた。

 同社は交渉に応じず、同労組は不当労働行為の救済を申し立てたが県労委は昨年7月、申し立てを却下した。このため同労組が同年12月、神戸地裁に提訴していた。

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