2008年12月10日(水) 00時00分
<学力国際調査>日本の理数が改善 「勉強楽しい」も増加(毎日新聞)
国際教育到達度評価学会(IEA)は、07年に実施した国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)の結果を公表した。日本は、中2理科の平均点が554点(3位)で前回03年調査の552点(6位)を上回るなど、実施4科目の平均点はすべて前回以上だった。小4では「勉強が楽しい」と答えた児童の割合が増え、学習意欲も改善傾向を示した。文部科学省は、小中学生の理数の学力低下に歯止めがかかったとみている。
調査には、37カ国・地域の第4学年(日本は小4)約16万人と、50カ国・地域の第8学年(中2)約22万人が参加。日本からは計8799人が参加した。点数は経年比較を可能にするため、全参加者の平均が500点になるように調整した。
日本の小4の平均点は、算数が前回より3点高い568点、理科が5点高い548点。いずれもデータ比較可能な36カ国・地域中4位(前回はともに25カ国・地域中3位)だった。中2の数学は前回と同じ570点で、48カ国・地域中5位(前回は46カ国・地域中5位)だった。
「勉強が楽しい」と答えた小4の割合は、理科が87%(前回比6ポイント増)で国際平均の83%を上回った。算数も国際平均には10ポイント及ばないものの、70%で前回より5ポイント増えた。
一方、中2は意欲の低さが依然として目立つ。「数学が楽しい」が1ポイント増の40%、「理科が楽しい」が前回と同じ59%で、国際平均をそれぞれ27、19ポイント下回った。
前回調査では、小4理科と中2数学の下落が目立ち、学習意欲の低下も顕著だった。塩谷立文科相は今回の結果について「学力低下傾向に歯止めがかかった。学習意欲で依然課題が多いとはいえ、一部改善の兆しが出てきており、各学校の取り組みが成果を上げつつある」と評価した。【加藤隆寛】
◆国際数学・理科教育動向調査の順位と平均点◆
(カッコ内は03年順位、−は不参加またはデータ不備)
<小4算数> <小4理科>
1香港 607(2) シンガポール 587(1)
2シンガポール 599(1) 台湾 557(2)
3台湾 576(4) 香港 554(4)
4日本 568(3) 日本 548(3)
5カザフスタン 549(−) ロシア 546(9)
6ロシア 544(9) ラトビア 542(7)
7イングランド 541(10) イングランド 542(5)
8ラトビア 537(7) 米国 539(6)
9オランダ 535(6)ハンガリー 536(8)
10リトアニア 530(8)イタリア 535(14)
<中2数学> <中2理科>
1台湾 598(4) シンガポール 567(1)
2韓国 597(2) 台湾 561(2)
3シンガポール 593(1) 日本 554(6)
4香港 572(3) 韓国 553(3)
5日本 570(5) イングランド 542(−)
6ハンガリー 517(9) ハンガリー 539(7)
7イングランド 513(−) チェコ 539(−)
8ロシア 512(12)スロベニア 538(12)
9米国 508(15) 香港 530(4)
10リトアニア 506(16) ロシア 530(17)
【ことば】国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)
主に授業で習得した知識の定着状況を見る調査で、95年以降は4年に1回実施。日本は81年調査で中2数学が1位になるなどしたが、03年調査は3〜6位で、当時の中山成彬文科相が「世界トップレベルとは言えない」と発言、学力低下を巡る議論を呼んだ。06年に日本の順位が大幅に下落した経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査(PISA)は、15歳を対象に3年に1回実施し、知識の活用や読解力に主眼を置くことからTIMSSとは出題傾向が異なる。
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