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2008年12月09日(火) 05時01分

<雅子さま>お誕生日に際しての東宮職医師団見解毎日新聞

<皇太子妃殿下のお誕生日に際しての東宮職医師団見解>

 妃殿下のご病状は、東宮職医師団が最初に本格的な見解を出しました平成17年12月当時に比べますと、着実にご快復になってこられています。

 公私にわたりご活動の幅が大きく広がり、最近では、5年ぶりに国賓歓迎行事にもご出席されました。ご公務につきましても、東宮御所でのご接見、ご進講へのご出席、勤労奉仕団へのご会釈、地方を含む行啓、行啓などのご公務に向けてのご準備、東宮職からご相談を受けられる内部のさまざまな懸案事項の調整や処理など、多くのお仕事をこなされるようになってきていらっしゃいます。

 ご家庭では、愛子内親王殿下が幼稚園から小学校へと進まれた中で、お母様として非常に細やかに気を配られていらっしゃいます。ご家庭とご養育を大切に考えていらっしゃる妃殿下にとりまして、愛子内親王殿下のご成長はとても大きな喜びになっていらっしゃるようにお見受けします。また、この夏には、殿下の海外ご公務が続かれるなか、引っ越しのご準備と後始末をはじめとする多くのお仕事をこなされるなど、とても頑張られました。

 しかしながら、妃殿下のこのような頑張りにもかかわらず、思う通りのご活動がおできにならず、妃殿下ご自身が心を痛められる状況はいまだに続いております。

 その最大の理由は、妃殿下の心身の状態にご自分で予測できないような波があるということです。

 そして、この波が下降線の時には、ご体調に不良の症状が表れ、ご活動を控えざるを得なくなります。

 ときには、妃殿下ご自身に頑張る気持ちがおありでも、心身の状態が限界ではないかと東宮職医師団が考え、ご活動を控えていただくようにお願いすることもあります。妃殿下のご体調に波があるこのような状況につきまして、引き続きご理解をいただきますようお願いいたします。

 一部には、ご治療に時間がかかり過ぎているのではないかというご指摘、あるいは治療の見通しを明らかにしてほしいとの要望がございます。

 平成17年の東宮職医師団見解では、妃殿下のご病名について慢性の「適応障害」であると明らかにしております。

 治療に長い日時を要しているということは、それだけ妃殿下の受けられたストレスが大きいものであったということであり、治療、すなわちストレスの軽減に時間がかかる状態だということであります。

 東宮職医師団としましては、個々のストレスあるいはストレス因子の内容について言及することは控えるべきであると考えておりますが、現状において、妃殿下のストレスの軽減がどのような速度でもって行われるかを具体的に見通すのは難しいことをご理解いただければと考えます。

 このような状況の中で、妃殿下におかれましては、公私を問わずご活動の幅を広げられることにより、小さいことでも何かを達成できたというご体験、ご発病後にできなくなっておられたことを再び行うことができるようになったというご体験を、時間をかけながら積み重ねていただき、自信を回復していただくこともまた大切だと考えて、治療を進めてまいりました。

 妃殿下の今後のご活動に関しましては、平成17年の東宮職医師団見解ですでに明らかにしておりますように、ご公務に加えて、ご養育などご家庭で果たされる役割、妃殿下のライフワークになるようなご活動をバランス良く、ご無理のない範囲で広げていっていただくことが肝要と考えております。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081209-00000020-mai-soci