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2008年12月09日(火) 03時19分

口座名義人の戸籍も偽造、1年前から準備か…家裁書記官読売新聞

 振り込め詐欺事件で凍結された預金口座から偽の振込依頼書で現金が引き出された事件で、現金が移された口座名義人の戸籍が昨年9月頃、京都家裁の偽の就籍証明書をもとに作られていたことがわかった。

 埼玉県警は、偽造有印私文書行使容疑で逮捕された京都家裁書記官の広田照彦容疑者(35)が少なくとも約1年前から架空の人物の戸籍を作成し、預金口座を開設するなどの準備を進めていた疑いもあるとみている。

 県警幹部らによると、さいたま地裁熊谷支部に送られた偽判決文の原告と、凍結口座から約400万円が移されたネット銀行口座の名義人は、いずれも「馬場(ばんば)」という姓の男性だった。

 「馬場」氏については昨年9月頃、記憶喪失を理由に、大阪府内の役所で新たに戸籍が取得されていたが、その根拠となったのは、京都家裁の就籍を認める証明書。実在する裁判官と広田容疑者の氏名があったが、証明書は偽物だったという。

 「馬場」氏は30代として戸籍が取得されたが、同姓同名の60代の男性が関西圏にいるといい、県警で関連を調べている。

 「馬場」名義の戸籍謄本や印鑑証明は、偽判決文の原告の身分を証明する書類として同熊谷支部に送られたり、口座の開設に使われたりしたほか、大阪府内のアパートの契約にも利用されていた。

 アパートは、偽判決文の原告や、口座の名義人の住所地として利用されていたが、県警がアパートを捜索したところ、広田容疑者が出入りしていたことがわかった。捜査関係者によると、アパートの賃貸借契約手続きの際、不動産会社を訪れたのは広田容疑者とは別の小柄な男だったという。県警では、協力者がいた可能性もあるとみて男の特定を急いでいる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081209-00000005-yom-soci