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2008年12月09日(火) 02時32分

<改正被爆者援護法>2日前倒し15日に施行毎日新聞

 在外被爆者が来日しなくても居住国から被爆者健康手帳の交付申請ができる改正被爆者援護法が、15日に施行されることが分かった。厚生労働省は9日の閣議で了承を得て、12日の官報で公布する。被爆者の高齢化が進んでいるうえ、在外被爆者の集団提訴が相次いでいることなどから、2日間の前倒し施行を決めた。

 改正被爆者援護法は08年6月に参院本会議で成立し、6カ月以内(12月17日まで)に施行されることになっていた。同省が長崎、広島両県市と外務省と協議し、15日施行に決めたという。厚労省健康局総務課は「被爆者の健康を考え一日も早い施行を考えていたが、調整事項が多く遅くなった」とした。

 施行後は、在外被爆者は月額約3万3800円の健康管理手当を受けるのに必要な手帳申請が、来日せず日本の在外公館を通じてできるようになる。

 韓国から交付申請し、長崎県から却下処分を受けていた被爆者の鄭南寿(チョンナムス)さん(88)の家族と支援者らは16日にも韓国にある釜山総領事館に手帳の再申請をする方針。

 健康管理手当などを巡っては07年11月、日本国外に出れば手当を打ち切ることなどを定めた旧厚生省通達(03年廃止)を、最高裁が違法と判決。これを受けて、厚労省が裁判での事実認定を条件に慰謝料支払いを表明したことから、今年10月にブラジルと米国の被爆者計163人、12月に韓国の被爆者388人など、在外被爆者の提訴が相次いでいる。【下原知広】

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