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2008年12月09日(火) 02時32分

<ノーベル物理学賞>選考委員長「若者の自由な発想大事に」毎日新聞

 今の日本では、青少年の理科離れが進み、研究の世界では基礎より応用が重視される風潮が強い。ノーベル賞授賞式を10日(日本時間11日)に控え、ノーベル物理学賞、化学賞を選考したスウェーデン王立科学アカデミーのジョセフ・ノードレン・ノーベル物理学賞選考委員長に単独インタビューした。【ストックホルム河内敏康】

 −−日本では理科離れが深刻だ。

 ◆スウェーデンやヨーロッパ、米国など多くの国で同様の傾向がある。科学に対する興味を創造するため、日本と協力することができるだろう。理科離れの原因の一つは、言語や数学などは習得に努力と辛抱が必要なことだ。今日では収入の問題もある。私の年収もとても低い。

 −−日本は応用重視になっているが。

 ◆これも世界的な傾向で問題だ。基礎科学より応用重視は、歴史から検証しても間違った考え方だ。医療分野で診断など幅広く使われているMRI(磁気共鳴画像装置)も、原子基礎物理学の長期にわたる研究成果だ。

 −−日本は今後も多くのノーベル賞受賞者を出せるか。

 ◆日本は(教授と学生という)上下関係が残っているが、スウェーデンではフラット(平ら)だ。日本のやり方は効率的だが、部下はボスを恐れる欠点もあり、若者の自由な発想が妨げられる。好奇心、自由な活動を生かすには多様性が必要になる。

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