記事登録
2008年12月09日(火) 06時01分

麻生首相更迭セミナー…「太郎」離れ党内で加速スポーツ報知

 報道各社の世論調査で、内閣支持率が軒並み20%台を記録したことについて、麻生太郎首相(68)は8日、「非常に厳しい数字だ」と弱音を漏らした。一方で日増しに動きを活発にする与党内の「反麻生」勢力の代表格、渡辺喜美元行政改革相(56)がこの日、都内のホテルで自民党総裁の解任の方法論を講義する「首相“更迭”セミナー」を実施。「首相の発言がぶれてはダメ」と支持率急落の原因を指摘した。

 8日、都内のホテルで「非常時対応セミナー」と題した講演会が、渡辺氏の主催で開催された。そこで披露されたのは、自民党の党則規定を適用した「総裁リコール案」や「内閣不信任案」、「総理・総裁分離」など、“麻生降ろし”の具体的方法論。ほかにも、新党結成への想定シナリオなどをぶち上げ、約600人の出席者をわかせた。

 このセミナーには、中川秀直元幹事長(64)、小池百合子元防衛相(56)ら“反麻生”と目される30人超の国会議員が集結。渡辺氏は新党結成など、自身の方向性について口をつぐんだが「(セミナーの趣旨は)頭の体操です」とニヤリ。麻生首相は完全になめ切られた格好となった。

 政治ジャーナリストの山村明義氏は、渡辺氏の強気の背景を「自身の選挙が強いので、首相の不人気にも左右されない」と解説する。だが、政界再編の現実味については、首相と距離を置く中川氏でさえも「野党は造反を促してくるかもしれないが、私は政局第一主義に乗る男ではない」と否定的。政治評論家の有馬晴海氏は「『ポスト麻生』も不在で、『反麻生』勢力もまだ、様子見という雰囲気。渡辺氏の本気度も懐疑的」と話すなど、鼻息の荒い渡辺氏の上滑り感は否めない。

 それでも、首相の求心力はガタ減りの一途。「民主党の小沢代表との党首討論で、質問にしっかり返答できない首相に『議論ができない人』と評した議員もいた」(山村氏)と漢字だけではなく、コミュニケーション能力をも疑問視する声が出ている。

 支持率急落を受け、麻生首相は8日昼の政府与党連絡会議で内閣支持率の急落に触れ「非常に厳しい数字だ。すべては私の責任」と神妙な面持ちで語った。原因を「今、特に閣僚が(問題がある)という話はないから、基本的にそう(自らの責任と)考えるのが順当だ」と自らの政権運営が招いたと分析した。

 いつになく殊勝な麻生氏だが、まだ、危機感は持っていないという説もある。有馬氏は「最近、首相は側近に『毎週のように世論調査されたら、(祖父の)吉田茂(元首相)だって長くは続かないだろ』と語ったようです。首相はさほど『倒閣』を心配していないのでは」と語った。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081209-OHT1T00067.htm