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2008年12月09日(火) 23時38分

内閣支持率急落…郵政民営化の集いに小泉氏現る 自民迷走に公明イライラ  産経新聞

 麻生太郎内閣の支持率急落を受け、自民党で余震が続いている。郵政民営化見直しにシビレを切らし、小泉純一郎元首相も久々に表舞台に登場。さまざまな議員連盟が乱立する中、反麻生、親麻生の両派が名を連ね、牽制(けんせい)しあう動きも広がり、党内の人間関係はより複雑化しつつある。自民党の迷走ぶりに連立パートナーの公明党は「我慢も限界に近づきつつある」(幹部)といらだちを募らせており、師走の迷走はまだまだ続きそうだ。(加納宏幸、杉本康士)

 「3年前の選挙を思い起こしてほしい。何やら不可解な行動をしている方の多くは郵政民営化に反対したことを『間違いだった』と誓約書に書き、復党したことを忘れてほしくない」

 9日午後、党本部で開かれた議員集会「郵政民営化を堅持し推進する集い」。9月末の引退表明後沈黙を守り続けてきた小泉元首相は厳しい表情で復党組の動きを牽制した。小泉氏は集会の呼びかけ人にも名を連ねており、よほど腹に据えかねたようだ。

 集会は、11日の衆院本会議で日本郵政グループの株式売却凍結法案の採決で否決を呼びかけるために開かれ、60人以上が出席した。造反組を復党させた安倍晋三元首相も「郵政民営化の問題は私が造反組を復党させたときに決着済みのはずだ」と不快感を隠さなかった。

 だが、安倍氏にはもう1つの思惑があった。この集会は反麻生色を強める中川秀直元幹事長、小池百合子元防衛相らが多数出席しており、郵政問題が再び政局の火種になりかねない。安倍氏は「政局が厳しい時に野党に利用されることがあってはならない。微動だにしないということを示すことが責任政党の証しとなる」と述べ、反麻生勢力を強く牽制。菅義偉選対副委員長も「新党結成の動きなど政権運営を妨げる行動があれば、同志として一緒にやれるか判断せざるを得ない場合もある」と話し、公認剥奪(はくだつ)などの強権発動をほのめかした。

 一方、復党組の山口俊一首相補佐官らは同日、党本部で「郵政見直しPT」の会合を開き、日本郵政グループの組織形態見直しを検討した。ただ、小泉氏らの集会は相当な重しとなったとみられ、山口氏は「政局に利用する考えはない。虚心坦懐(たんかい)に話せば分かる。あまりあおらないでよ…」と困惑の表情を浮かべた。

 塩崎恭久元官房長官ら有志の「速やかな政策実現を求める有志議員の会」も同日開かれ、25人が出席したが、今後のテーマについて意見交換しただけで終了。反麻生の急先鋒(せんぽう)の渡辺喜美元行革担当相は発言せずに途中退席。塩崎氏は「倒閣運動と疑う声もあるが、そんなレベルの話ではない」と釈明した。

 連立与党の公明党は「公明党は与党の雪だるまの芯として頑張る」(4日、太田昭宏代表)と首相支持を鮮明にしているだけに、自民党の混迷ぶりに怒り心頭だ。ある公明党幹部は「ここは耐えて支えるしかないのに自民党の騒ぎは一体何だ。『篤姫』(NHK)は女の道は一本道。公明党も一本道だ!」と怒りをぶちまけた。

     ◇

 自民党の議員集会「郵政民営化を堅持し推進する集い」の主な出席者は以下の通り。(敬称略)

 《衆院》小泉純一郎、伊藤公介、中川秀直、衛藤征士郎、笹川堯、石原伸晃、坂本剛二、杉浦正健、細田博之、安倍晋三、小野晋也、小池百合子、塩崎恭久、棚橋泰文、木村勉、柴山昌彦、菅原一秀、早川忠孝、石原宏高、猪口邦子、小野次郎、片山さつき、佐藤ゆかり

 《参院》世耕弘成、山本一太、中川雅治

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081209-00000608-san-pol