記事登録
2008年12月09日(火) 23時09分

古代のため池から施工者示す木簡出土…奈良・薩摩遺跡読売新聞

 奈良県高取町の薩摩遺跡で、奈良時代末〜平安時代初め(8世紀末〜9世紀初め)のため池跡から、渡来系氏族の檜前(ひのくま)一族が池を造ったことを示す木簡が出土し、県立橿原考古学研究所が9日、発表した。古代のため池の施工者が分かる例は極めて珍しいという。

 ため池跡は東西約40メートル、南北約90メートル。北側が堤になっていたとみられ、角材の内部をくりぬいた木樋(もくひ)の一部(長さ1・15メートル、幅50センチ、厚さ25センチ)が見つかった。上面には取水穴を開けた蓋(ふた)があったと考えられ、穴に丸太を抜き差しして水量を調節したとみている。

 また、樋の周囲から、木簡(長さ21・5センチ、幅4・1センチ、厚さ9ミリ)や、平安時代の銅銭が出土。木簡には「波多里長(はたりちょう)檜前主寸(すぐり)本なす」と墨書され、波多という里の長である檜前一族が工事を始めたことを示している。

 檜前氏は、渡来系氏族・東漢氏(やまとのあやうじ)の系統。渡来系氏族は高度な土木技術などを日本に伝えたとされ、技術を受け継いだ檜前氏が、ため池の工事を任されたとみられる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081209-00000065-yom-soci