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2008年12月09日(火) 22時33分

<支持率急落>今は攻めない民主 対決の照準は通常国会に毎日新聞

 麻生内閣の支持率急落に勢いづく民主党だが、敵失に乗じて国会戦略で一気に攻勢をかける気配はない。首相問責決議案や内閣不信任決議案を温存し、早くも決戦の照準を通常国会に定めている。

 「仕掛けろ。通常国会冒頭でやれ。今は消化試合になってしまっとるやないか」。9日の常任幹事会で、石井一副代表が執行部を突き上げた。「こっちから仕掛ける必要はありません。あらゆる選択肢を織り込んでおけばいいんです」。山岡賢次国対委員長はこう応じた。

 「予算は通すものは通す、反対するものは反対。それで解散や」(石井氏)。08年度第2次補正予算案を巡る「話し合い解散」の提案だったが、山岡氏は慎重な応答に終始。さらに「政界再編は一番の愚策。こっち(民主党)がまとまっていることが大事なんだ」と付け加えた。常任幹事会に先立つ役員会も含め、首相問責や内閣不信任を巡る突っ込んだ議論はなかった。

 民主党は金融機能強化法改正案の12日参院本会議採決で自民党と合意し、新テロ対策特別措置法改正案も会期内採決の方針だ。一方で2次補正の「対案」として提出する経済金融対策関連法案が審議できるめどはたっておらず、今国会は「消化試合」の様相だ。

 内閣不信任に消極的な理由を国対幹部は「自民党に手を突っ込みすぎると『離党予備軍』封じ込め勢力に大義名分を与える」と語る。首相問責についても「会期末ぎりぎりの提出では形だけだし、審議拒否は国民の批判を招く」と否定的だ。

 民主党幹部は「このまま麻生太郎首相が延命し、支持率が徐々に下がって任期満了までいけばいい」と、逆説的なつぶやきを漏らす。「向こうが勝手にこけてくれるのを待つのが得策」というわけだ。

 ただ、こうした「相手の自滅待ち作戦」が党内に広く理解されているわけではない。9日、輿石東参院議員会長ら参院執行部が若手議員十数人を対象に開いた懇談会では「経済金融対策6法案をしっかり出し、国会で正攻法で攻めるべきだ」など注文が相次いだ。衆院若手も「予算委員会審議でのアピールは不十分。小沢一郎代表も『国づくり』のビジョンを語らない。ただ解散を求めるだけでは支持を得られない」と不満を漏らす。

 攻めに転じて追い込むのか、「自壊」を見守るのか。この日役員会を欠席した小沢代表は、地方行脚先の広島市内で「(麻生政権は)国民から内閣不信任を突き付けられている。総選挙は年明け早い時期に行われる」といつもの答えを繰り返すだけだった。【野口武則、小山由宇】

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