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2008年12月09日(火) 21時56分

「あいりちゃん、そこに」 トレス被告の言動に父憤り中国新聞

 「あいりちゃんがそこにいる」。木下きのしたあいりちゃん=当時(7)=殺害事件で審理を差し戻した九日の広島高裁の控訴審判決で、ホセ・マヌエル・トレス・ヤギ被告(36)は自分の顔を殴り、突然立ち上がるなど、この日も不可解な言動を法廷で繰り返した。

 一番後ろの席で傍聴した父親の建一けんいちさん(41)は時折メモを取り、判決後の記者会見で「被告の近くに(あいりが)いるわけがない。不愉快で腹立たしい」と憤りを隠さなかった。

 黒の上着にジーンズ姿で、両手を前に合わせながら入廷したトレス被告。主文の後に証言台の横に座ってからも、同じ姿勢でじっと動かない。

 三時間余り続いた判決文朗読が二時間を過ぎたころ、裁判長が犯行場所に言及し始めたとたん、涙を流し「(一審で犯行場所の一部と認定された)葵荘あおいそう、葵荘」と連呼。

 自分で顔や頭を殴り、「葵荘と聞いて、いろいろ思い出した。うそはついてません」とスペイン語で訴えた。

 その後も誰かと話すしぐさや、突然立ち上がるなどし、刑務官が何度も制止。見かねた裁判長が「今度動いたら退廷を命じます」と注意した。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200812090326.html